ライフスタイルの多様化が進み、生涯独身率も増えつつあります。一方、いわゆる「おひとり様」とよばれる子どもがいない独身の人は、老後の身の回りの世話や介護などに不安を抱える人も多いでしょう。
働いて社会とのつながりがある間はあまり考えることがなくても、内容次第では今から備えておきたいものもあります。そこで本記事では、おひとり様が早めに考えておきたい老後の介護費用について解説していきます。
おひとり様の老後は何がデメリットになる?
冒頭でも触れたとおり、子どもがなく独身で老後を迎える人が珍しくない時代になり、厚生労働省でもガイドラインや事例集を取りまとめて公開しています。そこで本項では、おひとり様の老後では、どのようなことがデメリットになりうるのかについて解説します。
主に身元保証人がいないことによるデメリットが大きい
おひとり様の老後で大きなリスクと考えられるのが、身元保証人などが不在であることです。子どもや配偶者がいないことで、介護施設への入居費用がかさみ、費用面の負担が大きくなることが予想されます。
介護までいかない場合でも、入院等で医療機関から身元引受人の提示を求められる場合があります。入院等で身元引受人が必要となる理由のひとつとして、入院医療費の支払いに関する懸念があげられます。もし患者本人が支払えない場合でも、身元引受人が代理で支払うことに同意すれば入院療養ができるという仕組みです。
厚生労働省「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン及び事例集」では、医療機関が身寄りのない人に対して、必要に応じて医療費支払いに関する相談を受けることや、成年後見制度など必要な制度の案内などを行うことを推奨しています。
具体的には、身元引受人がいない場合でも患者本人の資力の有無など、総合的に判断し円滑に入院療養できるように配慮することが求められています。
おひとり様の老後で考えられるメリットとは
おひとり様の老後で考えられるのは、デメリットだけではありません。主なメリットとしては、夫婦世帯よりも備えるべき老後資金全体が少なくて済むことがあげられます。
おひとり様で考えられるメリットとしては、老後資金の負担軽減だけでなく、子どもがいないため教育資金がかからないことや、住居費が抑えられるなどもあります。特に住居費に関して、家族世帯よりもコンパクトな間取りで済むおひとり様の場合、購入でも賃貸でも住居費が抑えられることは大きなメリットといえます。
まとめ
おひとり様では、長期的なライフプラン・マネープランを考えていくうえで自分を基準にすればよく、子どもや配偶者がいないことで適宜調整しやすいというメリットがあります。教育費がかからず、住居費も抑えられることから、自分基準で考え実行していける良さがあります。
一方、老後生活になると入院療養や介護の場面で、費用面や身元引受人の問題が発生することがあります。老後費用を十分に備えておくことはもとより、事前に厚生労働省のガイドラインなどを参考にし、成年後見制度など使える制度についても把握しておくと安心です。
<ファイナンシャルフィールド>
子なし・独身のおひとり様老後は介護費が大きくなる? 出費の特徴を知っておこう