40歳を前にした女性二人がマンションを共同で購入して一緒に暮らす。
この暮らしにいま、日韓の女性たちから共感の声が集まっているようです。
こういった生活を送っているのはコピーライターやエッセイストでもあるキム・ハナさんとフリーランスのエディターのファン・ソヌさん。
インタビューから一部抜粋してご紹介します。
ソヌさん:
韓国では未婚と既婚の人たちのあいだで対立が生まれているように思います。結婚して子供を産んでいる女性が、未婚で働いている女性から見下されるような発言があります。「あなたみたいに家で遊んでいるんじゃなく、私は仕事をしているから忙しい」とか、「私も結婚してれば仕事を諦めてただろうな」とか。
でも、未婚・既婚関係なく、誰かと一緒に暮らすということは大変なんですよね。私たちの本の中でも、家事分担の話があります。たとえ分担制だとしても大変で、努力が必要な分野であることを綴ったら、未婚の人からも既婚の人からも共感の声をもらいました。結婚した女性、結婚していない女性らが互いに敵になる理由はないし、それぞれがそれぞれの方法で幸せであればそれでいいと思うんですよね。
ソヌさん:
実は韓国では最近、女性に搾取されていると感じている男性が多いんです。女性のほうが男性よりも明らかに収入が低いのに。韓国では昇進や正規雇用でも女性はたくさん差別を受けています。最近も、ブラック企業や面接での女性差別が韓国で大きな問題となりました。
個人がどんなに努力しても、女性だという理由で限界が決められ、結婚して子供が生まれれば、女性だという理由でキャリアを犠牲にすることも多い。男性と同じだけ仕事をして同じ額のお金を稼げたら、女性もより自由に人生の選択ができるのではないでしょうか。男性とお金を同じように稼いでそのお金を好きに使いたいのに、それができない女性は多いです。
そうした状況があるなかで、男性たちの中にはいまの韓国社会では「男が差別されている」と言う人もいる。彼らが主張する事例の一つが「女性専用駐車場」。女性専用駐車場が必要な理由は、暗い駐車場で起きる事件が多くて、少しでもその事件を少なくしようという意図があるのに、安全な駐車場が必要なだけなのに、それを見て「男性差別だ」と感じるようです。
ハナさん:
韓国でも日本でも、「差別されている」と感じている女性は多いと思います。そうした状況に対する「怒り」は私たちにももちろんあります。でも、「家父長制は問題が多い!」と怒って強く訴えるよりも、若い女性たちに、私たちにも選択肢があるんだよ、ということを伝えたいと思って『女ふたり、暮らしています。』を書きました。
結婚するか独身かの二択しかないわけじゃない、友達と住んでもいいし、他の誰かと住んでもいいし、結婚じゃなくても、共同体として生活してもいい。そんな風に生きていけるということを多くの女性に知ってほしいです。
お二人のインタビューを見て固定概念にとらわれない独身の新しいライフスタイルのロールモデルが今後増えてくるといいなと思いました。