物価の上昇や税率の引き上げが続く中、老後の生活費を年金だけでは賄えないのではないかと心配している人もいるのではないでしょうか。老後は体力が衰え、病気などで働くことが難しくなることもあるでしょう。
本記事では、年金を受給しながら働いている場合でも生活保護は受けられるのか、また実際の老後生活の現状について解説します。
年金や所得があっても生活保護は受給できる
年金や所得がある人でも、その額が最低生活費に満たない場合、差額が生活保護として支給される可能性があります。東京都23区(1級地-1)に住む65~69歳の単身高齢者の場合、最低生活費は次のように算出されます。
■第1類(飲食物費や被服費等の個人的経費):4万6460円
■第2類(光熱水費や家具什器費等の世帯共通的経費): 2万7790円
■住宅扶助基準額(家賃、間代、地代等の額):5万3700円
これらを合計すると、最低生活費は12万7950円となります。
例えば、受給している年金額が月額5万円の場合、最低生活費との差額である7万7950円が生活保護費として支給されます。年金を受給していたり所得があったりする場合でも、その額が一定の基準を下回る場合には、生活扶助として差額を補填する形で支給が行われる可能性があります。
生活保護受給に必要な条件
生活保護を受給するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。
まず、世帯の収入が厚生労働省の定める最低生活費を下回っていることが基本条件です。また、預貯金や不動産などの資産がある場合は、それらを生活費として活用する必要があります。さらに、親族からの経済的援助が期待できないことも条件の1つとなります。
働ける能力がある人は、仕事を探す努力が求められますが、病気や障害で働けない場合はその限りではありません。これらの条件を満たすことで、生活保護を申請し受給することができます。
生活保護費の使い道には制限がある
生活保護費は、支給されたお金の使い道に一定の制限があります。年金や給与などの収入は生活保護費から差し引かれるため、収入が増えると支給額は減少します。また、住居についても家賃補助の上限が定められており、その範囲内で住まいを確保する必要があります。
そのため生活保護費は、生活に必要な費用に充てることが原則です。
まとめ
年金収入だけでは生活が厳しいと感じている高齢者の人は少なくありません。しかし、年金収入が少なく最低生活費を下回っている場合、生活保護を受けられる可能性があります。
老後の生活に不安を感じている人は、まずは自分の収入と支出を把握し、最低生活費を下回っているかどうかを確認することをおすすめします。そして、必要に応じて生活保護の利用を検討してみるとよいでしょう。
出典
厚生労働省 生活保護の被保護者調査(令和6年7月分概数)の結果を公表します
厚生労働省 国民生活基礎調査
厚生労働省 生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和5年10月)
<ファイナンシャルフィールド>
41歳独身。低年収で「奨学金」の返済もあり、貯金は8万円です。老後も働く予定ですが、収入が少ない場合、年金を受け取っていても「生活保護」を受けられるのでしょうか…?