<調査の背景と目的>
国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集」によると、2020(令和2)年の「50歳時の未婚率」は男性が28.3%、女性が17.8%で、年々増加傾向が見られます。今後も結婚を希望する人が増えなければ、ミドルシニアの未婚者はさらに増え、単身世帯が増えることが予想されます。
株式会社日本総合研究所では、国内の45歳から64歳、正規雇用(定年を迎えた人においては、契約社員・嘱託社員含む)として就業している未婚者(今までに婚姻したことのない人)を対象に、キャリア(結婚や働き方等)に関する意識について、ウェブアンケート調査を実施しました。
今後、少子高齢化が進む日本社会において、行政や企業等の施策の検討の際の基礎資料として本調査が活用されることを期待しています。
本調査の結果は、「ミドルシニア未婚者のキャリア(結婚や働き方等)に関するアンケート調査結果」のレポートとして取りまとめました。
「ミドルシニア未婚者のキャリア(結婚や働き方等)に関するアンケート調査結果」のレポート
■概要
本調査の各章におけるハイライトは以下の通りです。
●キャリア意識
回答者の45.5%が、定年を問わずできるだけ長く働き続けたいとしている。「できるだけ長く働き続けたい」または「わからない」を選択した回答者に、定年後の働き方として、希望する働き方のスタイルを尋ねたところ、全体では「体力的に負担をかけずに働く」(47.9%)が最も多く、「現在の職種に近い仕事をする」(35.2%)、「現在の業種に近い仕事をする」(32.5%)と続いている。男女別に比べても、この傾向は変わらない。
図表1.定年を問わず長く働く意向
図表2.定年後の働き方の希望(複数選択)
●将来の不安
将来に不安があるか、理由を尋ねたところ、全体では、「病気になってしまうこと」(59.4%)が最も多く、「生活費が不足すること」(54.5%)、「自分が認知症・寝たきりなど介護が必要になること」(38.4%)と続いている。
突然の病気など一人では対処できない状況が発生したときに頼れる相手としては、「家族・親族」(57.5%)が最も多い一方、「頼れる人はいない」と回答した人も約3割存在している。
図表3.将来の不安理由(複数選択)
図表4.頼れる相手(複数選択)
●友人や交際相手
友人の数について尋ねたところ、「年齢が10歳以上若い友人」は「0人」という回答が最も多く、全体の約6割に上る。
また、回答者の83.1%は、交際相手がいない。
図表5.友人の数(全体)
図表6.交際相手の有無(単数選択)
●若い頃の結婚と子どもの希望
回答者の33.2%は「結婚もしたくなく、子どもも欲しくなかった」、28.2%は「結婚をして子どもを持ちたかった」を選択した。
今まで結婚しなかった理由を尋ねたところ、全体として「結婚したいと思える相手に出会えなかった」(42.8%)が最も多く、「一人の生活が好きだった」(25.3%)、「自分のための自由な時間が欲しかった」(17.5%)と続いている。男女別で比べても、この傾向は変わらない。
図表7.若い頃の結婚と子どもの希望(単数選択)
図表8.結婚しなかった理由(単数選択)
●自治体による中高年対象の結婚支援事業への賛否
自治体による中高年対象の結婚支援事業に対して、「どちらかといえば取り組むべきである」(41.4%)が最も多い。自治体が中高年を対象とした結婚等支援事業に「取り組むべき」「どちらかというと取り組むべき」を選択した回答者に、理由を尋ねたところ、「婚活を希望する中高年が信頼して結婚相手やパートナーを探すことができる」(49.6%)が最も多く、「孤独の防止につながる」(45.0%)も約半数近い回答となっている。
図表9.自治体による中高年対象の結婚等支援事業への賛否(単数選択)
図表10.自治体による中高年対象の結婚等支援事業に賛成する理由(複数選択)
※記事は執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。