これまで「変わりたい」「結婚したい」と相談に来られた1000人以上の方々のうち、4割ぐらいが「一度もお付き合い経験がない女性」。そして筆者自身も20代まで、化粧もせず髪もボサボサの“完全なる非モテ”でした。一念発起して自分を変え、皆さんの“もったいないところ”をアドバイスしてきた経験から、恋愛・婚活に役立つリアルな情報をお届けします。
自分の個性は認めてほしい。他人の個性は認めない
年齢が上がると婚活が不利になります。アラフォー以上で未婚の方は男性も女性も多いのですが、年齢が上がるほど癖が強い人の割合が増えてきて、マッチングがしにくくなります。あまりエビデンスがないことは言いたくないのですが、癖の強さを示すデータもないのでご容赦ください。
ただし「変わっているな」という人は別に20代にも大勢いますし、結婚する方もいます。
傾向としてアラフォー以上の未婚者には、「自分の個性は認めてほしいのに、自分と違う価値観や考えを持つ他人は受け付けない」という人が多いなと思います。他人と暮らすから協調性が育まれるのか、協調性がないから未婚なのかは分かりませんが。
親からの「あなたは結婚しないの?」に怒り爆発
未沙さん(仮名・35歳)は20代のころ「結婚しないと一人前じゃないという考え方は、おかしい」と思っていました。
従妹が結婚した時のことです。親から「あなたは結婚しないの?」と聞かれて、「なんで結婚しなきゃいけないの。結婚する前提なのはなぜ? 結婚していないとダメなの?」と大声で言ってしまいました。それ以降、家族から結婚の話は出なくなったそうです。
服を握った女性の手元新型コロナウイルス感染症が流行し始めたのは、未沙さんが30代になってからでした。外出に制限がかかる生活になり、友人とも頻繁に会えなくなります。
定期的に食事をしたり一緒に出かけたりしていたある友人からは、彼氏ができて結婚すると報告を受けました。その友人もかつては「一人が楽だよね」と言っていた仲間でした。「結局は一人ではなく、家族を持つ選択をしたんだ」と、未沙さんは裏切られたようにも感じます。彼女の結婚を心から祝ってあげることもできず、やり取りもどんどん減ってしまいます。
人と繋がる手段が、結婚以外に思い浮かばない
新型コロナに感染し、一人で寝込んでいる時に、20代の頃との体力の差を感じました。このまま死んでも誰からも発見されないんだと、孤独死が頭によぎったそうです。これまで気が付かなかった“一人”のデメリットを考え始めました。
結婚式寝込んでいる間に、様々なことが頭に浮かびます。20代の頃はいろいろあった「お誘い」はすっかり減って、これから友人が新たに増える機会もあまりない。そんなことにも気が付きます。
「結婚したいわけじゃないけど、30代だと結婚しか、人と親しい繋がりを持つ手段が思いつかない。だからマッチングアプリを始めました」という未沙さん。でも、あまりうまくいっていないのです。
「なんで○○なの?」の質問を「バカにされた」と思う“歪み”
未沙さんはある男性とデートをして「バカにされたことがあった」といいます。彼女は学生時代にブラスバンドをやっていました。プロフィールに趣味はクラシックと書いていたら、男性に「クラシックってよく分からない。なんでクラシックが好きなの?」と言われました。それを「バカにされた」と思っているのです。
私は未沙さんとやりとりして、彼女に「認知の歪み」を自覚してもらう必要性を感じました。
クラシック音楽「それって『なんでクラシックなんか』みたいな文脈じゃなく、単純な疑問文で文字通り『なぜクラシックが好きなの?』という意味だったんじゃないの?」
「そうなんですかね」
「その男性にはもう確認しようがないけど、お母さんの『結婚しないの?』だって、結婚の圧力をかけたわけじゃなく、ただの確認のつもりだったかもしれないよ」
「それは思わなかったです。否定されたって思ってました」
「別に絶対結婚したいわけじゃないし」
「バカにされた」「否定された」と極端に受け取りがちな傾向のある未沙さん。
婚活のプロフィールを見ても、だいぶ拗(こじ)らせていました。マッチングアプリの「結婚」に関しての項目には「結婚は考えていない」と書いています。
スマホを操作する女性の手元「これだとヤリモク(体目当ての人)ばっかり寄ってくるんじゃない?」
「でも、別に絶対結婚したいわけじゃないし」
「絶対結婚したいわけじゃなくても、相手の男性はいろんな女性がいる中で比較検討するわけだし。『いい人がいれば結婚したい』『相手と話し合って考えたい』って項目もあるから、わざわざ会う前にマイナスになることを書かなくてもいいよ。マッチングアプリで結婚できる人なんて、ユーザーの中で1割以下なんですよ。プロポーズされてから相手と結婚するかどうか諸条件を話し合っていけばいいんです。誰からもアプローチされていないのにディフェンスだけしてるよ」
そんな未沙さん、プロフィール写真の差し替えもすんなりとはいきません。「写真ってプロに撮ってもらったら、ガチすぎてものすごく結婚したい人に見えませんか?」と言うのです。
結婚の話で怒った娘に、親が思っていたこと
後日、未沙さんは母親に「結婚しないの?」と言った時の理由を聞いてみたそうです。すると「彼氏がいる様子もずっとなかったし、怒ってたから、もしかしたら未沙は女性が好きなのかなと思った」と言われたそうです。
「別に結婚しないのはダメというつもりはなかったそうです。親は私がLGBTだと思っていたみたいでした。話さないと分からないものですね」
結婚して少し疎遠になっていた友人にも久しぶりに連絡して、食事をしてみたという未沙さん。そこで婚活していることを伝えたら「応援するよ。結婚はいいよ!」と言われたそうです。「昔は一人がいいって言ってたじゃん」と言うと「一人もいいし結婚もいいよ」と返されたとか。
「衝撃だった。一人がいいと言ってたからイコール結婚しないんだと思っていたけど、どっちもいいって考え方があるんですね。私は、極端に受け取りすぎていたみたいです」
裏切られた、批判されたと受け取りがちな思考の癖に気が付いて、人間関係を構築していってほしいと願います。
※個人が特定されないよう一部脚色してあります。