ミドル独身女性の不安

JKK東京「令和5年4月から、 都営住宅が申込みしやすくなります!」によれば、若年夫婦・子育て世帯向け募集(毎月募集)の募集戸数を増やすなどちあり、若いカップルや子育て世代を主な対象にした募集が増えているようすがうかがえます。

また、最近は女性の管理職登用や社内でのジェンダーロールの払拭などにより、これから社会に出る若い女性たちは豊富な選択肢の中からキャリアを選びやすくなるといえるでしょう。

若い女性たちの暮らしをゆたかにする支援は多くある一方で、ミドル層のおひとりさま女性の生活をよりよいものとすることを目的とした制度はあまりないように見受けられます。

しかし、現代社会では40~50歳代のミドル層以上のおひとりさま女性の生活をサポートする制度を設けることの重要性も増していると考えられます。

本記事ではミドル層のシングル女性について、非正規雇用の割合や彼女たちが置かれている経済事情などについて解説していきます。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

40歳~60歳以上のおひとりさま女性の非正規雇用の割合

わくわくシニアシングルズ「-2022年 中高年齢シングル女性の生活実態調査報告-」では、2390人(40歳(61.2%)、50歳(24.5%)、60歳以上(14.4%))のシングル女性を対象にした生活実態の調査結果が明らかにされています。

この調査によって明らかになったシングル女性における年代別の就業形態について見てみましょう。

【図表1】

出所:わくわくシニアシングルズ「-2022年 中高年齢シングル女性の生活実態調査報告-」

【図表1】によると40歳代については正規職員の割合が半数を超えているものの、非正規職員の割合は36.3%と高いです。また、50歳代になると正規職員は42.7%と半数を下まわり、非正規職員の割合が4割を超えます。

子育てや家事と両立するために非正規雇用という働き方を選ぶ女性も多くいます。しかし、独力で生計を立てていかなければならない状況において非正規雇用を選択することにはリスクもあることを忘れてはいけません。

未婚女性の中には仕事内容やワークライフバランスを重視して非正規雇用を選択される方の他、正規職員になる機会が掴めずに非正規雇用で働きながら歳を重ねている方もいます。

40~50歳代のおひとりさま女性の多くが経済的ゆとりがない

日本労働組合総連合会「非正規雇用で働く女性に関する調査2022」は非正規雇用で働く1000名の女性に経済的ゆとりの有無についての調査結果を明らかにしています。

【図表2】

出所:日本労働組合総連合会「非正規雇用で働く女性に関する調査2022」

「配偶者も子もいない」女性で「ゆとりがある」と回答した人の割合は3.2%にすぎません。

「ある程度ゆとりがある」と回答した人は19.5%となっており、そこそこゆとりのある暮らしを営んでいるおひとりさま女性は全体の2割程度になります。

一方で、「まったくゆとりがない」と回答したおひとりさま女性は30.4%。また、「あまりゆとりがない」と回答した人は36.4%です。つまり、66.8%の非正規雇用で働くおひとりさま女性が経済的ゆとりのなさを実感しています。

対して、「配偶者も子もる」女性のうち「ゆとりがある」、および「ある程度ゆとりがある」と回答した人は29.7%。一方で、「あまりゆとりがない」、および「まったくゆとりがない」と回答した人は 66.5%という結果でした。

この調査では非正規雇用で働く配偶者も子もいないおひとりさま女性の場合、夫婦で子育てをしながら非正規雇用で働く女性よりもゆとりのなさを実感している人がわずかではあるものの多いことが明らかになっています。

「独身であること」に3割近くのおひとりさま女性が不安を抱えている

同調査によると「日頃生活をしていて感じる不安」の調査結果は以下のとおりです。

出所:日本労働組合総連合会「非正規雇用で働く女性に関する調査2022」

非正規雇用で働く女性の中でも配偶者がいない人たちが抱えている不安の上位5項目は以下になります。

生活の維持、収入 59.6%
老後の生活 46.8%
仕事 43.6%
健康 33.4%
独身であること 28.2%

非正規雇用で働く女性の多くが、現在の生活を今後も維持できるか不安を抱えています。

非正規雇用は定年退職まで働き続けることが保証されていないことはもちろん、1年後も現職を継続できるか分からないことも多いです。

また、年金受給開始年齢の引き上げや高齢者の医療費負担増大などが唱えられている中で、老後についての不安は増すばかりでしょう。

その他にも、独身であることに不安を抱えている方、仕事や健康に関する不安を抱えている方も多いです。

おひとりさまには歳を重ねるごとに賃貸契約が難しくなる、病気の際に身内に頼りにくい、介護は行政や福祉施設でなければあてにできないなど、未婚であるがゆえの問題もあるでしょう。

支援の対象となりにくいおひとりさま女性

子育て世帯を対象にした給付金や育休中の給与の扱いについて日常的に話題となっています。

その一方で、不安定な経済状況にあるおひとりさま女性に対する支援は手薄いといえるでしょう。

おひとりさま女性の中には社食で一番安いメニューを選択している方や、腹持ちのよさそうなパン一つ食べて夜遅くまで働かれている方もいます。

経済的余裕のなさや非正規雇用という立場にある人に対して「本人の選択」「努力不足」といった見方をする人も少なからずいます。

しかし、ミドル層の女性たちは現在のように職場における女性の活躍が推進されていない時代に就職活動を行っていた他、大学・短大卒業時に結婚・出産を機に仕事を辞めることを前提に職を選ぶことは珍しくはありませんでした。

また、この世代には就職氷河期世代も含まれており、優秀で、かつ人望のある人であっても就職活動で苦労された方も多いです。長岡市では、2023年8月31日に就職氷河期世代を主な対象とした「合同企業説明会&相談会」がおこなわれる予定です。

その他にも、人の性格はそれぞれ異なりますので、正社員が性に合わない方や結婚生活に自信がない方もいます。

社会が単身でありながらも不安定な雇用形態で働く女性によっても支えられていることを忘れてはいけません。

たまの贅沢も難しい状況にあるおひとりさまを対象にした給付金の支給の他、おひとりさまが老後も安心して暮らせる公営住宅などについて検討していくことも重要といえるでしょう。

<LIMO>
40~50歳代「おひとりさま女性」約半数が非正規雇用。抱える不安とは

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