未婚者軽視の少子化対策

4月17日発売の「AERA(アエラ)2023年4月24日号」(朝日新聞出版)の巻頭特集は、「少子化対策ここがヘン」。出生数が80万人を割った日本。少子化対策はずっと前から重要視されてきたはずなのに、なぜ効果が出ないのか。これまで打ち出してきた対策のどこがズレていたのかについて、データを交えながら詳報している。

「異次元」少子化対策も「これまでの延長線上に過ぎない」

日本政府は、かならずしも少子化対策を軽視してきたわけではない。94年に初の本格的な子育て支援策「エンゼルプラン」が策定されて以来、「新エンゼルプラン」(2000~04年)や「子ども・子育て応援プラン」(05〜06年)を通じて育児休業制度の拡充や保育料の無償化などが進んだ。17年には、安倍晋三首相(当時)が少子高齢化を「国難」と呼び、その突破を公約に衆議院を解散して選挙に勝った。

だが、その間、出生率は下がり続けた。中央大学教授の山田昌弘さんは、その原因を「非正規」や「未婚者」の軽視にあるとみている。育児休業の充実にしろ、保育園の増設にしろ、対象となるのは原則「正規雇用同士の共働き夫婦」。しかし、その割合は人口全体の4分の1に過ぎず、残りの4分の3は「未婚者」や地方に多い「正規雇用の夫+非正規やフリーランスの妻」の組み合わせだ。こうした未婚者や非正規の人たちへの支援は、この30年間ほとんどなされてこなかったという。

3月末、岸田政権は、「異次元」と掲げた少子化対策のタタキ台を公表したが、山田さんは「これまでの政策の延長線上に過ぎず、一番肝心の結婚と高等教育の支援がほとんどない」と批判する。

いったい、どうすれば子供が増えるのか。記事では、各方面の有識者に有効な対策を尋ねている。このほか、「15年後には3割が空き家」という特に都市部で深刻な問題や、少子化対策では「男性の働き方改革がカギ」という提言もあり、重層的な特集となっている。

<BOOKウォッチ>
「未婚者」と「非正規」は対象外! ここがヘンだよ少子化対策

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