人生100年時代といわれる現在、老後の生活資金に不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。ライフスタイルも多様化している昨今では、独身のまま老後を迎える人も珍しくありません。未婚者と既婚者では、老後に抱えるリスクが少々異なります。
そこで今回の記事では、世帯形態別にそれぞれが備えるべきお金の課題について解説していきます。
65歳以上の無職世帯の収支バランス
まずは、総務省の「家計調査年報(家計収支編)2020年」の調査結果をもとに未婚者と夫婦世帯の収支バランスについて確認していきましょう。
■単身世帯は毎月7723円の赤字
65歳以上の無職単身世帯の毎月の可処分所得は12万5423円です。それに対して毎月の消費支出は13万3146円となっているため、月々7723円の赤字が発生している結果となりました。老後の収入が限られるなか、毎月貯蓄を取り崩しながら生活をするのは不安が大きいかもしれません。
■夫婦のみの世帯は毎月1111円の黒字
一方、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の毎月の可処分所得は22万5501円です。それに対して毎月の消費支出は22万4390円となっているため、わずかに黒字となる結果となりました。ただし、収支の差額は約1000円と決して余裕がある収支バランスではないことが分かります。
未婚者・既婚者が老後に抱えるお金の課題
老後の収支バランスの実態をみると、未婚者・既婚者ともに早いうちから資産形成に取り組む必要があるといえます。老後の生活資金を準備するにあたって、それぞれ考慮すべき課題とはどのようなものでしょうか。
■未婚者は介護費用がかさむ可能性がある
未婚者は夫婦世帯に比べて介護費用がかさむ可能性があります。子供や身寄りのいない未婚者であれば、介護業者を頼らざるを得ない状況です。
公益財団法人生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」によると、介護にかかる費用は約581万円となっています。
体力の衰えから公共交通機関を利用することが難しくなると、通院や買い物などにタクシーを使う頻度も多くなるかもしれません。送り迎えしてくれる家族がいる世帯と比較すると、未婚者はそうした費用がかさんでしまうこともリスクのひとつです。
■既婚者は現役時代から上手に貯蓄を行う必要あり
既婚者世帯は、現役時代に子供の教育費や住宅の購入費用などで大きなお金が必要となります。そのため、早いうちからマネープランを立てていなければ、十分に貯蓄ができていないまま老後を迎えてしまうこともあるかもしれません。既婚者世帯は、ライフイベントにかかる費用をしっかりと把握したうえで計画的な貯蓄を行う必要があるといえます。
未婚者・既婚者ともに若いうちから資産形成に取り組もう
未婚者・既婚者ともに「豊かなセカンドライフを送りたい」という願いは共通です。しかし、世帯形態が異なるゆえに発生しうるリスクは異なっています。それぞれ早いうちから老後のリスクを見据えて計画的な資産形成に取り組むことが大切です。
出典
総務省 家計調査年報(家計収支編)2020年(令和2年)家計の概要
公益財団法人生命保険文化センター 生命保険に関する全国実態調査2021(令和3)年度
<ファイナンシャルフィールド>
未婚者と既婚者で異なる「老後のリスク」。それぞれが備えるべきお金の課題とは