最近は結婚を選択しない人が増え、まわりに40代~50代のおひとりさまも増えたと感じる人もいるのではないでしょうか。
いわゆる「生涯未婚率」は、50歳時点で一度も結婚していない人の割合を指しますが、内閣府の「令和3年版 少子化社会対策白書」では、この生涯未婚率が2040年には男性で29.5%、女性で18.7%になると予測されています。
もちろん、結婚するかしないかは個人の自由で、その選択は尊重されるべきことですが、シングルの人生を選んだ場合に起こり得るリスクや、その対策について知っておくことは大切でしょう。
そこで今回は、現在40代~50代のおひとりさまの老後で想定されるリスクや、必要となる費用を確認してみたいと思います。
近年の国勢調査によると、40代前半で未婚の人は、2000年(平成12年)では男性で18.4%でしたが、2020年(令和2年)には32.2%になっています。女性は2000年で8.6%だったのが、2020年には21.3%になっており、その他の年齢でも40代~50代の未婚者は以前より増えています。
理由はさまざまですが、高度成長期前に多かった見合い結婚が減り、その後に増えた職場結婚も1990年代頃から減少しました。最近はマッチングアプリなどで出会う人も増えているようですが、出会いの場は全体的に減っているのかもしれません。
女性の場合、以前は結婚によって生活の安定を図ることが一般的と考えられていましたが、最近では就業率が高まり、結婚を選択しなくても自立して生きられる人が増えたことも要因の1つといえるでしょう。
一方、男性については高収入や安定した収入を得ている人もいますが、近年は非正規労働者も増加し、未婚率も高くなっています。
正社員であれば、50代に向けて上昇する年功賃金で住宅ローンも組みやすく、子どもの教育費なども賄えますが、非正規雇用では賃金の上昇が見込みにくく、結婚したくても踏み切れないといった現状が指摘されています。
現代では自由に生きることを重視して、積極的に結婚しない選択をする人も増えています。しかし未婚率とともに、親と同居するシングルが以前より増えているというデータもあり、親の介護などの事情もあるにせよ、未婚者の経済力の低下は結婚を遠ざける一因と考えられています。
▼シングル世帯で今後に想定されるリスクと費用
病気やケガをしたとき
高齢になると、親など頼れる親族がいなくなることが多いため、病気やケガをした際にヘルパーを利用する費用、入院時の保証人や身元引受人の委託費用などがかかります。ヘルパーなどの看護に伴う費用は月額で平均5万円程度、保証人・身元引受人の委託費用は35万円~100万円程度を見込んでおく必要があります
認知症への備え
認知症になると介護費用がかかるだけでなく、お金の管理などを自分で行うのが難しくなるので、任意後見制度を利用して任意後見人を選んでおき、あらかじめ契約した内容について支援を受ける、さらには施設に入居する手続きに同伴してもらうための費用などがかかります。任意後見人の契約料は10万円強ですが、月額の報酬で1万円~6万円ほどがかかり、施設入居の手続きの同伴の費用は5万円~10万円ほどです。また、在宅介護では、リフォームや設備を整えるための一時的な費用の平均で50万円以上、月額の介護費用で4万円~5万円がかかります。
葬儀、お墓、遺品整理に必要なお金
頼める親族がいない場合は、万が一に備えて葬儀費用などのほか、死後に行う事務手続きについて第三者に委託することも考えておきましょう。例えば、自宅葬にかかるお金は40万円~100万円程度ですが、お墓・納骨の費用についてはお寺によって幅があり、数万円~数十万円がかかります。それに加え、永代供養には20万円~50万円、さらに管理料が年1万円~3万円ほど必要になります。
<ファイナンシャルフォールド>
増える40代~50代の「おひとりさま」。将来のリスクやかかる費用はどのくらい? その対策は?