令和の日本は「おひとりさま」だらけの国になる。国勢調査によれば、男性の生涯未婚率は1985年から2020年で、3.9%から25.7%にアップ。女性の生涯未婚率も4.3%から14.9%に増加した。35年前と比べて、未婚率がかなり高まっていることがわかる。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2025年の単身世帯は2015年より8.4%増えて1996万世帯に達するとみられている。特に80才以上の単身女性は2025年までに34%増加して223万人になり、全年齢階層の中で最も多くの単身世帯を抱えると見込まれる。
未婚や夫との離別、死別などで、ひとりで暮らす女性が増加する中、懸念されるのが貧困の問題だ。単身世帯では勤労世代(20〜64才)の女性の約4分の1、65才以上の女性の約半数が相対的貧困といわれる。
「女性の貧困を生み出す大きな要因は働き方です」
そう指摘するのは、ウーマンライフパートナー代表の中村真佐子さん。
「日本は非正規雇用で就業する独身女性が多く、彼女たちは収入が少ない上、ひとり暮らしでは貯蓄が望めません。また現行の社会保障制度は結婚した女性が夫に扶養されて家族形成していくモデルを想定しており、専業主婦と比べてシングルの女性へのサポートが少ない。女性は結婚して子供を産むものであり、働いてもパートの範囲という“男性稼ぎ主”モデルの考えが根強いのです。
さらに、コロナ禍で非正規雇用の女性が先に解雇されることが顕著になった。このため日々の暮らしで精いっぱいのケースが多く、シングル女性の貧困が加速しています」(中村さん)
経営コンサルタントの坂口孝則さんは、正社員の単身女性は賃金が上がりにくいと語る。
「いまの日本社会は男性社員と比べて、女性社員は働き続けても賃金が上がりにくい。たとえば男性は30代前半で35万円の平均月収が60代定年前に42万円まで上がりますが、単身女性は30代前半に32万円だった平均月収が60代定年前になっても31万円にダウンするというデータがあります」
女性の得る収入の低さは、老後の支えとなる年金にも大きく影響する。2020年度の老齢厚生年金と老齢基礎年金を合計した月額平均受給額は65才以上の男性は約17万円だが、女性は約10万9000円と大きな差がある。これは、男性の方が給与水準が高く、勤続年数が多いことが要因だ。
自営業者などが受け取る国民年金は男性約5万9000円、女性約5万4000円と金額が低く、これだけで老後を支えるのは苦しい。切迫する状況に、中村さんのもとには、独身女性からさまざまな悩みが寄せられる。
「特に中高年の女性から多いのは、ひとりだと入院が必要となった際に身元保証人がいなくて不安だという声です。また50才を超えると、『遠方にひとり暮らしする母親の介護をどうすればいいか』という相談が多くなります。独身女性は年を重ねていくほど、『親の介護』がリアルな問題になります」(中村さん)
近年は気ままにひとり暮らしを楽しむ「おひとりさま」がブームだが、ひとり暮らしの中高年女性からは「生活が苦しい」との悲鳴があがる。都内でひとり暮らしをする石村裕子さん(仮名・63才)が肩を落として打ち明ける。
「10年前に夫と離婚してシングルになりました。その際に財産分与で1500万円ほど受け取りましたが、精神的に苦しかった結婚生活の反動もあり、3年足らずで1000万円を消費してしまった。離婚後は第二の人生を謳歌するつもりでしたが、すでに底を突きつつある老後の資金が心配です。自由と不安定は背中合わせだと肌で知りました」
若い頃なら再婚を視野に入れることもできるが、高齢になると簡単ではなくなる。坂口さんは、高齢になるほど単身女性は不利になると指摘する。
「統計では、年を取るほど食費や光熱費、美容代などにお金がかかるようになり、日常生活のコストが増しています。また、病気になる確率も高くなるし、不慮の事故に遭うかもしれない。そうしたとき、経済的な負担をひとりで背負わなければならず、収入はないので、当然生活は苦しくなります」(坂口さん)
独身への女性へのケアってなんでこんなに後回しになるのでしょうか?ケアしたら未婚率がより高くなることを助長させてしまうことが懸念なのでしょうか?メディアには強く逞しい女性はたくさん出てきていますが、こういった社会的弱者の立場の女性がたくさんいる事実とも向き合わないといけないと感じます。
<NEWSポストセブン>
80才以上の単身女性、2025年には223万人に 懸念される貧困問題