「独身のため老後生活が不安…」「漠然としたお金の不安がある…」。
このような「モヤモヤしたお金の不安」を持っている人は多いのではないでしょうか? この対処法は、「お金の見える化」が有効です。では、老後の「お金の見える化」はどのように進めれば良いのか、考えてみましょう。
現状を整理してみる
まずは試算の条件から考えます。
22歳から50歳までの平均年収は500万円(月額平均約42万円)だとします。賃貸住宅に住んでいて、家賃は8万円です。60歳に定年退職、65歳までは再雇用で働こうと思っています。退職金は400万円、再雇用後の給与は6割ぐらいです。貯蓄は現在300万円くらいあります。65歳以降に、働くかどうかは未定です。「ねんきん定期便」を確認すると、65歳から受け取れる年金は月額15万円です。
将来を予測してみる
60歳の定年を迎えたとき、退職金と貯蓄を合わせて、700万円の老後資金がある計算になります。60歳以降の再雇用で働くと月額25万円(年収300万円)です。
生活費は、一般的にどのくらい必要なのでしょうか? 総務省の「家計調査(2023年)」の「65歳以上の単身無職世帯の家計収支」をみると、月額15万6773円です。およそ月額16万円なのですが、この調査は、持ち家の世帯が多いので住宅費は少なくなっています。家賃などを考慮すると、首都圏と地方では住宅費が大きく異なりますが、月額22万円以上は必要になるかもしれません。
今回は、最低月額22万円を確保するためにどうすればいいのかを考えたいと思います。
65歳で仕事を辞めると厳しい老後生活になる…
65歳からの年金額は月額15万円です。目標額である22万円から7万円も足りません。足りない分は、老後資金からの取り崩しになります。月額7万円=年額84万円です。
老後資金700万円÷年額84万円=約8.3
つまり老後資金は約8年しか持ちません。65歳で仕事を辞めると、73歳には、老後資金がなくなる上、月額15万円の生活になってしまいます。
「公的年金シミュレーター」を使うと、自分の年金受給額がわかる
先の計算は60歳から65歳までの間も厚生年金に加入しているので、この間に厚生年金も増えます。厚生労働省が提供している「公的年金シミュレーター」を使って、いくつかシミュレーションをしてみます。細かな計算は省いて、結果だけを示します。
先ほどのケースを「公的年金シミュレーター」で計算すると次のようになります。
【65歳まで働いたときに年金額=月額17.25万円】
65歳まで年収300万円で働くと、65歳からの年金は月額17.25万円(年額207万円)です。
↓
【70歳まで働いたときの年金額=月額18.75万円】
70歳まで年収300万円で働くと、65歳からの年金額は、徐々に増えていき、70歳からの年金は月額18.75万円(年金額225万円)になります。
70歳まで働いても、目標額の月額22万円までは3.25万円足りません。
老後資金の700万円は取り崩していないので、老後資金がなくなるのは87.94歳と少し伸ばすことができました。しかし、厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」によると、男性65歳の平均余命は19.52年、84.52歳なのでそれを越えることになりますが、女性65歳の平均余命は24.38年、89.38歳なので十分とはいえません。また、長寿の時代ですから不安は残ります。
70歳まで年金の繰下げ受給をする
次の作戦は年金を70歳まで繰り下げる、です。
年金の繰下げ受給をすることで、年金額が増額になります。1年遅らせることで、8.4%の増額になりますから、70歳まで繰り下げれば42%増額、75歳まで繰り下げれば、84%増額になります。
70歳まで年金の繰下げ受給をすることにし、かんばって70歳まで働きます。60歳から70歳まで働くことで給与がありますから、その間の生活費は給与で補います。
【70歳まで繰り下げたときの年金額=月額26万円】
年金の受け取りを70歳にすると年金受給額は月額26万円(年額312万円)になりました。
目標の22万円を4万円も上回ることになります。しかも、老後資金の700万円は手つかずに残っています。この700万円は、旅行などのレジャー費、または介護が必要になった時の費用としてとっておけます。こうなれば、すこし余裕をもった老後生活が送れそうです。
<MONEY PLUS>
50歳独身、年収500万円…余裕をもった老後生活を送るためにやるべきことは?