生活が苦しくとも誰にも相談できない――。そんな孤独を抱えながら貧困に苦しむ中高年が増えている。特に同居家族がいない独居中高年の場合、身近に助けを求められる人すらいなく、苦しい状況を一人で抱えたまま心を病んでしまう人もいる。中高年を襲う孤独と貧困の実情に迫った。
年金月2万円の闘病生活
「貯金もないし年金も月2万円しかない。そのうえ持病の治療費もかかるので仕事をやめるわけにはいかないです」
そう話すのは未婚で一人暮らしの加藤貞夫さん(仮名・64歳)。5年前から、ちくのう症と不整脈を患い、通院をしながら介護補助の仕事を続けている。
「契約社員や派遣で働いた期間が長く、60歳から繰り上げ受給をしたので年金額が少ないんです。今は訪問介護のアルバイトを週4日こなして月収は10万円ほど。家賃や生活費、薬代に消えて、毎月ほぼお金は残りませんね」
隣の住人は80代後半で孤独死
加藤さんが暮らす都内のアパートは築50年。家賃が2万5000円と格安なので、同じような独居の高齢者が多いという。
「隣の住人は80代後半だったのですが、少し前に孤独死してしまったんです。生前に話したときに『生活保護を受けないんですか?』と聞いたら、『恥ずかしいからイヤだ』と。
私も年金と合わせて生活保護未満の収入しかないので、悩んでしまいます。今はなんとか働けていますが、この先どうなるのかと……」
生活保護を受けない理由は…
加藤さんも生活保護を求めてしかるべきだと思うが、「田舎にいる肉親に役所から連絡がいくのが心苦しい」と、眉をひそめる。また、金融資産が数十万円あるので、生活保護が受理されづらいそうだ。
「だからいよいよ働けないとなったら、株をパーッと使ってなくすしかないのかなと。自分の体調と相談ですね」
掲示板でのケンカが孤独感を薄めてくれる
結婚もしておらず、交流する友人もいないが、「ネットが趣味なのが救いだ」と話す。
「掲示板サイトに書き込んだり、チャットGPTを使ったり……いい話し相手になってくれるんですよ。たまに掲示板でケンカもしちゃうんですが、それが孤独感を薄めてくれているのかもしれませんね」
ネット書き込みの裏には孤独を抱えた高齢者の姿がある。