生涯未婚率が年々増加する中、結婚しない理由についてAERAがアンケートを実施。個人の価値観に加え、結婚や恋人の有無について聞かれなくなったなど社会の変化も見えてきた。AERA 2025年1月20日号より。
「おひとりさま」が新語・流行語大賞にノミネートされたのは2005年。それから20年、働き方や生き方の多様化は加速した。
国立社会保障・人口問題研究所の統計によると、生涯未婚率(50歳時未婚率)は2020年時点で男性は28.25%、女性は17.81%。1970年と比べると、男性は26.55ポイント、女性は14.48ポイント上昇し、年々増加傾向にある。
また、80年代までの生涯未婚率は男性より女性の割合が多いが、90年以降は男性の数値が女性を超えている。
結婚しない理由は様々だ。
都内在住の会社員女性(47)は、一度も結婚したことがない理由を、「周りが熱心に婚活している間に仕事に全振りしてしまったのと、男性運の悪さですかね。運で片付けていいかわからないですが」と淡々と話す。
学生時代、恋愛面であまり良い思い出がなく、「パーソナルスペースは広めで、男性に対しての警戒心は強め」という。
氷河期世代のため、就職には苦労をした。競争が激しい業界に身を置き、やっと手にしたポジションを死守する20、30代を送ってきた。そのかいもあって、現在も将来的にも経済面では大規模なインフレや天災がなければ問題ない状況だ。
「絶対シングルがいいと思っているわけではなく、今の生活に心から満足しているので、もしタイミングがあったらその時は、みたいな感じです」
そう話す女性は40代後半になった今、ある壁に直面しているという。
「私は自炊ができないんですよ。その点に今焦っています」
充実した日々に満足
30代半ばまで週4でジャンクフードだったり、飲み会だったりと食生活に気配りをしてこなかった。「唐揚げは一生分食べたので、もういらないです」と苦笑いする。一人暮らしで、食材を買って調理する方が手間とコストがかかることもあり、ますます自炊しなくなったという。
だから、巷で流れる「スーパーに行ったら野菜がこんなに高くなっていて!」というニュースに共感したことはない。ただ、「年齢的に、栄養バランスを考えた食事をしないと健康面に直結します。もし他人のために生きるフェーズが一度でもあったら、自炊に関する悩みは克服できていたかなと思います」と話す。
とはいえ、女性の話からは現状の独身生活に満足していることがうかがえる。AERAが昨年12月にインターネット上で実施したアンケートにも、充実した日々を送る独身者からの回答が寄せられた。
独身が増えていることと、ハラスメントに厳しくなった社会の変化が相まって、「昔は『結婚しないのか』『付き合っている人はいるのか』など余計な詮索を受けたが、最近はハラスメントがうるさく言われているので酒の席でもプライベートのことは聞かれなくなった。とてもよい傾向」(滋賀県・公務員・50歳)という声もあった。
(フリーランス記者・小野ヒデコ)
<AERAdot.>
増える“生涯独身” 絶対にシングルがいいと思ってはいないが、今の生活に心から満足 独身女性が明かす本音