1年のはじまりのこの時期は、ライフプランやマネープランを考えるのによい時期でしょう。
生き方や働き方などが年々多様化している日本では、価値観もだんだんと変わりつつあります。
それは結婚に対する価値観も同じで、ジブラルタ生命保険株式会社がおこなった「おひとりさまに関する調査 2024」※によれば、おひとりさまの中では「結婚=幸せ」とは思わない人の割合が約75%となっています(※2024年12月19日公表。調査対象:20歳~69歳の未婚男女4700名(男性2350名 女性2350名))。
今回は同調査を参考にしながら、おひとりさまの生活の基盤となる貯蓄についてもみていきましょう。
1.おひとりさまの割合とは?
まずは国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2024年)」を参考に、50歳時点でのおひとりさまの割合を確認します。
50歳で未婚の割合
1.1 50歳時の未婚割合(2020年)
未婚:男性28.25%・女性17.81%
死別:男性0.50%・女性1.49%
離別:男性6.50%・女性10.64%
合計:男性35.25%・女性29.94%
現代の50歳時点で、未婚、死別、離別をあわせたおひとりさまの割合は男女ともにおよそ3割前後となりました。
配偶者有りの割合は男性で1980年は94.17%でしたが、2000年に81.78%、2020年は64.75%へと減少。
女性も1980年の84.71%から2000年の83.67%、2020年の70.07%と減少しています。
2.おひとりさま「結婚=幸せではない」7割以上【年代・男女別】の割合は?
ジブラルタ生命保険株式会社「おひとりさまに関する調査 2024」によると、「“結婚=幸せ”ではないと思うか」と聞いたところ、全体の結果は以下の通り。
「非常にそう思う」 28.1%
「どちらかといえばそう思う」 46.6%
「どちらかといえばそう思わない」17.0%
「全くそう思わない」8.2%
合計した「そう思う(計)」は74.8%、「そう思わない(計)」は25.2%となり、そう思う人の割合が多くなりました。
年代・男女別にみると「そう思う(計)」の割合は30~40代男性で60%台後半、50~60代になると70%台前半まで上がります。
女性は20~30代ともに76.6%と、男性より多い結果に。40代では83.0%となり、60代まで80%台前半となりました。
いずれの年代も女性の方が結婚=幸せだと思わない割合が多くなっています。
3.おひとりさま「結婚=幸せではない」【都道府県別】の割合は?
次に都道府県別で「結婚=幸せではない」と思う割合を11位まで男女別に見ていきましょう(※同率のため11位まで表記)。
3.1 「結婚=幸せではない」と思う都道府県別の割合(男性)
1位:長野県、島根県、広島県、福岡県、大分県80.0%
6位:三重県78.0%
7位:埼玉県、東京都、山口県76.0%
10位:岩手県、石川県74.0%
3.2 「結婚=幸せではない」と思う都道府県別の割合(女性)
1位:大阪府94.0%
2位:大分県92.0%
3位:長野県、徳島県90.0%
5位:北海道、愛知県88.0%
7位:東京都、神奈川県、岐阜県、三重県、和歌山県86.0%
男女ともにトップ3にランクインしたのが長野県と大分県。ほかに男女ともにランクインしていたのは三重県、東京都でした。
女性は大阪府が最も多く94.0%となりました。女性は上位の4府県が9割を超えています。
「結婚=幸せ」だと思わない人の割合は都道府県によって差が見られました。
4.求める幸せは人それぞれ。ただし老後まで含めたマネープランの検討を
一昔前は結婚する人の割合が多かったですが、生き方が多様化している今、必ずしも結婚を選ばない人も増えています。
そもそも結婚は結婚生活のはじまりであり、したから幸せになれるというわけでもありません。
求める幸せは人それぞれ。
世帯構造として単身世帯、夫婦のみの世帯、夫婦と未婚の子のみの世帯、ひとり親と未婚の子のみの世帯などがありますが、それぞれが生活する中で各々の求める幸せを考え、行動してつかんでいくものです。
ただし考えておきたいのが、おひとりさまは自身で今、そして老後も生活していくこと。現役時代は仕事による収入がありますが、老後は年金や貯蓄を切り崩すなどで生活する方が多いでしょう。
2024年12月に公開された厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金と国民年金の平均月額は以下の通り。
国民年金の平均年金月額
4.1 【国民年金】平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:5万7584円
〈男性〉平均年金月額:5万9965円
〈女性〉平均年金月額:5万5777円
厚生年金の平均年金月額
4.2 【厚生年金】平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:14万6429円
〈男性〉平均年金月額:16万6606円
〈女性〉平均年金月額:10万7200円
※国民年金部分を含む
国民年金で5万円台、厚生年金で14万円台が平均となっており、年金のみでは生活できない場合もあるので現役時代からまとまった貯蓄を用意する必要があるでしょう。
年金は実際には加入状況により個人差が大きいので、ねんきんネットやねんきん定期便で自身の受給予定額は早めに確認しましょう。
5.おひとりさま「20~70歳代」の貯蓄の平均と中央値は?
最後に現役時代と、そして老後も支えてくれる貯蓄額の平均も見ていきます。
ジブラルタ生命保険株式会社の同調査で貯蓄額を聞いたところ、貯蓄の平均と中央値は以下でした。
5.1 おひとりさまの貯蓄(平均・中央値)
平均:全体677万円 / 男性729万円 / 女性625万円
中央値:全体100万円 / 男性100万円 / 女性100万円
平均は500万円を超えていますが、中央値は100万円まで下がります。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」を参考に、おひとりさまの年代別の貯蓄額も確認しましょう。
おひとりさまの貯蓄額
5.2 【おひとりさま】20~70歳代の貯蓄額「平均値と中央値」
20歳代:平均値121万円・中央値9万円
30歳代:平均値594万円・中央値100万円
40歳代:平均値559万円・中央値47万円
50歳代:平均値1391万円・中央値80万円
60歳代:平均値1468万円・中央値210万円
70歳代:平均値1529万円・中央値500万円
老後を60歳代からと仮定すると、平均は1468万円ですが、中央値は210万円まで下がり、個人差が見てとれます。
やはり現役時代から計画的にコツコツと貯蓄をして老後に備えることが大切でしょう。
6.老後に備えて情報収集と行動を
幸せは自分が決めることですが、一方で生活の基盤となるお金は大切です。
計画的、かつ安定的に貯まりやすい先取り貯金(毎月一定額を貯蓄して残りで生活する)をはじめたり、新NISAやiDeCoといった資産運用でお金にも働いてもらうことを検討したりしながら、今年の貯蓄計画を立てるといいでしょう。
運用にはリスクがありますし、また向いている資産形成は人により異なります。まずは情報収集からはじめてはいかがでしょうか。
参考資料
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集」
ジブラルタ生命「おひとりさまに関する調査 2024」
厚生労働省「用語の説明」