厚生労働省が発表した「合計特殊出生率」が8年連続で過去最低となりました。中でも、大阪府と京都府は過去最低を更新。何が問題なのでしょうか。
元気にはしゃぐ子供たち。しかし、このたくさんの笑顔が見られなくなる日が来るかもしれません。
5日、厚生労働省が発表した「合計特殊出生率」。1人の女性が産む子供の数の指標で、厚生労働省によると、2023年に生まれた赤ちゃんは72万7277人で過去最少となり、合計特殊出生率は1.20で8年連続で過去最低となりました。
都道府県別で見ると、関西では京都は1.11、大阪は1.19とそれぞれ過去最低を更新しました。
この結果を受け、吉村知事は…
【大阪府 吉村洋文知事】「やはり全国的に減少している状況ですから、全国的な課題だと思います。子育てで一番お金かかるのは教育費ですから、高校教育の無償化と国公立大学の教育の無償化ぐらいは、今のこの状況を鑑みたら、非常に危機的な状況だと政府が言うんであれば、それぐらいはやってほしいなと思います」
街の人は…
【子供2人いる女性】「小学校から塾とかにみんな行ってるし、お金がすごくかかるから、ちょっと将来が大変かなと思います」
【子供1人いる女性】「(金銭面は)だいぶ心配になります。気持ち的には2人ぐらいほしいなあと思いますけど、実際ちょっと…」
【未婚の女性】「金銭的にもそうですし、その時自分のやりたいこととかあれば、そっち優先してるかもしれないです」
■婚活サポートに力を入れる京都府
一方、関西でワーストとなった京都では、婚活サポートに力を入れています。
【記者リポート】「こちらのセミナールームでは、婚活マスターによる出会いのイベントが定期的に開かれています」
京都府民たちが無料でサービスを受けられる「きょうと婚活応援センター」では、府に登録したボランティア「婚活マスター」約50人が、週に10回ほどセンター内のお見合いイベントをサポートします。
清水寺の散策やサッカー観戦などのイベントも開催し、去年からはAIが週に1回のペースで価値観の合う人を紹介してくれるマッチングなども実施。
9年間で900組以上を結婚に導いてきました。
【京都府健康福祉部 こども・子育て総合支援室 西田一慶さん】「特に20代から34歳ぐらいまでの若い女性の方の結婚されている率が低い。未婚の割合が高いというのが、京都府の特色と考えています。しっかり支援して、最後は出生率の改善に少しでもつながればと期待しています」
■岸田政権の「子育て支援」以前に“結婚しない”現実がある
岸田政権が少子化対策を強化しようということで乗り出しています。
5日、国会で「改正子育て支援法」が成立しました。
・児童手当 第3子以降月額3万円にアップ
・育児休業給付 両親ともに14日以上育休を取得する場合で手取り収入の実質10割相当を給付
・妊娠・出産時 10万円相当を給付予定
・こども誰でも通園制度 親の就労を問わず、保育園や保育所などに預けられるようになる制度を創設
【菊地幸夫弁護士】「今紹介された制度は、結婚している人たちに厚くサポートしようということだと思うんです。問題は多分それ以前の、そもそも結婚しないこと。生涯独身率が非常に高いということです。(改正子育て支援法の)サポートの前の段階が問題なんじゃないかと思います」
「私は小学校などで授業をやらせていただく時に、小学生の女の子が結婚とか出産とかにあまり興味がないっていうか、消極的なんです。『子供を産むのはなんか痛いから嫌だ』『結婚も面倒くさい』。何がやりたいのかというと、『OLになって、冷房効いた部屋でチョコレート食べていたい』こういう答えがあるんです。うーんと思っちゃいます」
【関西テレビ 神崎報道デスク】「京都府の方も言っていたように、女性の未婚率、結婚しない率が高くなっている。やはり女性の社会進出と大きく関係していると思います。昔は結婚して、子供を産んでというのが一つの流れみたいになっていました。今は働いてる女性が多くて、その中で結婚しちゃうと例えば自分の自由な時間がなくなっちゃうとか、お金も全部自分で使えるのに使えなくなっちゃうとか。選択肢がいっぱいある中で、あえて結婚して子供を作ることを選ばない人が増えているのだと思うんです」
「抜本的な話でいうと、政府の子育てメニューは、結婚している夫婦が1人目、2人目、3人目と子供を作るという政策だと思うんですけど、その前に結婚に至らない人をどうやって結婚につなげるのか。京都府の婚活サポートの取り組みは一つのヒントになるのかなと思います」
結婚観、家族観が大きく変わってきている中で、子供を産み育てることに前向き環境を整えていくことも必要になってくると思います。