40代50代の貯蓄中央値

2024年3月、金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」が公表されました。
こちらの資料では、各年代の貯蓄額平均や中央値等を知ることができます。

40歳代の貯蓄額中央値は47万円という結果に。同じくらいの貯蓄を保有する方は、「50歳代になるともっと貯蓄額はあがるもの?」と気になるようです。

資料から40歳代・50歳代の単身世帯の貯蓄額を見るとともに、記事後半ではおひとりさまが老後生活を送るうえでの不足額も確認します。今後の貯蓄について考えていきましょう。

1.40歳代・50歳代「独身現役世代」の貯蓄額中央値・平均値

40歳代・50歳代の単身世帯(金融資産を保有していない世帯を含む)の貯蓄額平均値および中央値は次のとおりです。

40歳代~50歳代単身世帯の貯蓄額平均値および中央値

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」を参考に筆者作成
40歳代:平均値559万円・中央値47万円
50歳代:平均値1391万円・中央値80万円

40歳代の貯蓄額の分布は次のとおりです。

40歳代の貯蓄額の分布

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」を参考に筆者作成
非保有 40.4%
100万円未満 11.1%
100万円~200万円未満 5.2%
200万円~300万円未満 4.0%
300万円~400万円未満 3.7%
400万円~500万円未満 2.5%
500万円~700万円未満 4.6%
700万円~1000万円未満 7.7%
1000万円~1500万円未満 6.2%
1500万円~2000万円未満 2.2%
2000万円~3000万円未満 4.3%
3000万円以上 4.3%
無回答 3.7%

続いて50歳代はつぎのとおりです。

50歳代の貯蓄額の分布

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」を参考に筆者作成
非保有 38.3%
100万円未満 11.2%
100万円~200万円未満 5.2%
200万円~300万円未満 2.7%
300万円~400万円未満 3.6%
400万円~500万円未満 3.8%
500万円~700万円未満 4.6%
700万円~1000万円未満 5.5%
1000万円~1500万円未満 4.9%
1500万円~2000万円未満 4.1%
2000万円~3000万円未満 4.4%
3000万円以上 9.3%
無回答 2.5%

貯蓄額の中央値で見ると、40歳代は47万円であるのに対して50歳代は80万円です。
年代が上がっても、増加額はわずかとなっています。

一方で、平均値は559万円から1391万円へ増加しています。
3000万円以上の貯蓄をもつ世帯の割合が4.3%から9.3%へ倍以上に増えるなど、急増しているのが特徴です。
年収があがった方や老後を見据えて貯蓄を進めた方などが、平均値を押し上げている可能性があります。

ただし、「年代があがれば自然と貯蓄が増える」という考えにはリスクがあります。支出や収入事情は個々で異なりますし、貯蓄を増やしたいのであれば行動が必要になるからです。

2.おひとりさまが老後生活を送るうえでの不足額はいくら?

実際の年金受給者の家計状況をみると、単身世帯では月2万1000円の赤字になりました。
※金額等は執筆時点での情報にもとづいています。

年金受給者の家計状況

出所:総務省統計局「2022年(令和4年)家計の概要」を基に筆者集計・計算。なお、表の数値は千の位で四捨五入しているが、計算時には円単位で計算しているため、表記上の加算・減算の結果が合わない場合がある

仮に30年間、すなわち65歳から95歳までの月々の赤字額をおぎなうとすると、およそ741万円不足する計算に。
もし、老後生活を年金だけで賄うなら、この金額を貯蓄する必要があります。

3.おひとりさまの老後生活の考え方

中央値で見れば老後生活が不安にも見えるおひとりさまですが、実は個々の状況によって深刻度合いは変わります。
次のようなポイントをふまえて、自分の老後生活を見据えた準備を進めてください。

3.1 退職金が期待できるなら過度な不安は不要な方も

まず、現在大企業の正社員などに勤めていて、まとまった退職金が期待できるなら過度に不安に感じる必要はありません。
単身の生活を支える700万円超の資金は、退職金だけで賄える可能性があるためです。

退職金制度はそれぞれの勤務先で大きく異なるため、しっかり確認するようにしましょう。

3.2 現在まとまった支払いがある方はマネープランを立ててみよう

住宅ローンなどでまとまった支払いがある方は、マネープランを立てて今後の支払い状況を見通しましょう。
仮にローン返済が老後の前に終わるなら、完済後に家計が急改善することにより資産形成が可能な場合があります。

3.3 40歳代は投資を積極化すれば間に合うことも

40歳代で貯蓄ゼロに近い状態の方も、単身であれば老後に間に合う可能性があります。
たとえば、45歳から投資を始めて65歳に1000万円の資産形成を目指すとしましょう。

金融庁「資産運用シミュレーション」にて試算すると、利回り3%とした場合、月々3万460円の積立で1000万に到達可能です。

その人の家計状況にもよりますが、捻出可能な方は多いのではないでしょうか。

4.まとめにかえて

40歳代の貯蓄平均値は559万円、中央値は47万円。50歳代の貯蓄平均値は1391万円、中央値は80万円になりました。前年度の調査ではどちらも中央値が53万円だったので、変化している様子がわかります。

中央値で見れば老後生活が不安にも見えるおひとりさまですが、実は個々の状況によって深刻度合いは変わります。過度な不安だけを募らせるのではなく、個々の状況を今一度振り返ってみましょう。

<LIMO>
40歳代独身「貯蓄の中央値」は47万円。50歳代になると資産は増えるもの?

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