2023年8月23日に「乃木坂46」の33作目のシングル『おひとりさま天国』がリリースされました。
この曲ではおひとりさまの気楽さが歌われている他、PVでは小部屋に入ったメンバーがカラオケや釣り、ゲーム、アートなどそれぞれ自分の好きなことをひとりで楽しんでいます。
人気アイドルグループの楽曲でも「カップル単位の世の中」が疑問視され、おひとりさまでいることのよさや楽しさがテーマになっています。
また、株式会社SHIBUYA109エンタテイメントが運営する若者マーケティング機関『SHIBUYA109 lab.』が、一都三県の15~24歳の男女400名(男性200名/女性200名)に対して2022年に行った調査「Z世代の恋愛・結婚観に関する意識調査」では、「絶対に結婚したい」と答えた人は16.3%にすぎず、「良い人と出会えたらできるだけ結婚したい」が42%と最多になりました。
この調査において「結婚願望はない」と回答した人は18.8%となっており、「絶対に結婚したい」よりも高い割合となっています。
とはいえ、現代においても未婚者に対して「かわいそう」「良い人が見つからないのだろう」といった先入観を抱かれることも事実です。
本記事では未婚者と既婚者の価値観や考え方を見ていきましょう。
【おひとりさま】結婚よりも優先したいことがある未婚者も
少し前の資料になりますが、内閣府政策統括官(共生社会政策担当) による「結婚・家族形成に関する意識調査 報告書」(平成27年)では、20~39歳(男性42.6%/女性57.4%)の男女(計2643名)における「現在結婚していていない理由(未婚者)」についての調査結果(複数回答可)が明らかにされています。
【図表1】
【図表1】によると「適当な相手にめぐり合わないから」(54.3%)がもっとも多い結果になりました。
また、「結婚後の生活資金が足りないと思うから」(26.9%)と回答した人も多く、結婚に前向きであるものの難しい状況にある人も少なくないとうかがえます。
一方で、「自由や気楽さを失いたくないから」(27.2%)は2番目に多くの回答を集めました。
その他にも、「趣味や娯楽を楽しみたいから」(23.7%)、「仕事を優先したいから」(10.4%)、「結婚するつもりはないから」(10%)といった、結婚に無関心ともいえる項目も多くの回答を集めています。
近年では娯楽も多様化し、推し活なども流行しているため、恋愛よりも自分の時間が楽しい、のめり込みたいと思える物事がある、という人もいます。
業種によって女性の未婚率が異なる傾向に
未婚者と一括りにしても価値観や生き方はさまざまですが、仕事が忙しく婚期を逃したというケースは一昔前からありました。
仕事に充足感を抱いていたり、日々の業務に慌ただしくしていたりすると、恋をする時間がなかったり、結婚が後まわしになったりすることも珍しくないでしょう。
荒川和久著『超ソロ社会 「独身大国・日本」の衝撃 』(2017・PHP新書)では産業別男女の未婚率を明らかにしています。以下、同書より調査結果の一部を抜粋します。
・女性の未婚率が高い職業(正規)
・放送業(77%)
・新聞・出版・映像制作・広告制作業(50.1%)
・広告業(38.5%)
・情報サービス業(パッケージソフトウェア業・ゲームソフト業)(35.6%)
・電気・ガス・熱供給・水道業(32.2%)
・専門サービス業(法律・会計・デザイン業・著述家)(27.5%)
・女性の未婚率が低い職業(正規)
・漁業(0%)
・学術・開発研究機関(3.1%)
・農業・林業(4.3%)
・社会保険・社会福祉・介護事業(10.1%)
・宿泊業・飲食サービス業(12.2%)
・医療業(病院・医院・歯科)(14.4%)
引用:荒川和久著『超ソロ社会 「独身大国・日本」の衝撃 』(2017・PHP新書)64頁より抜粋
上記のように業種によって違いが見られ、女性の未婚率が高い職業はマスコミ関係やIT系、インフラ系、専門職など比較的高い給与を見込める職業が多い傾向にあります。
放送業や出版関連、デザイン業、著述家に従事されている方の中には仕事を趣味と重ね合わせているような方も多くいると考えられるでしょう。
一方で、女性の未婚率が低い職業は漁業や農業・林業といった地方エリアでの勤務になりやすい職業や、エッセンシャルワーカーが該当する傾向にあります。
生き方が多様化する社会へ
現代社会には数々の娯楽があり、スマートフォン1つあれば国内外を問わず共通する趣味をもつ仲間とつながれます。
そのため、恋愛をしたり、カップルで行動したりしなくても休日や余暇を誰かと楽しめます。
言い方を変えると、自分の好きなことや趣味に忙しく、結婚を考える余裕がない人も珍しくないでしょう。
また、人には向き不向きがあるため、ひとつ屋根の下で複数人で暮らすのが向いている人もいれば、自宅を自分だけの空間にしたいという人もいます。
結婚で得られる幸せもあれば、結婚しないからこそ得られる幸せもあるため、自分の価値観を大切にしながらも他者の価値観を否定しないことが大切かもしれませんね。