晩婚化が進んでいる日本では、「おひとりさま」で老後を迎える人も珍しくありません。
そんな「おひとりさま」が今後の老後生活で気になるのが、老後に必要な貯蓄額かと思います。
本記事では、2023年5月23日に公表された「35歳以上のおひとりさま女性を対象にした調査データ」をもとに、おひとりさまの貯蓄事情について解説していきます。
生涯未婚率は年々上昇、今後の日本はどうなるのか
内閣府が発表した「少子化社会対策白書」によると、男女の生涯未婚率(50歳時未婚率)は1970年で男性1.7% 、女性3.3%だったのに対して、2020年には男性28.3%女性17.8%と上昇しています。
数十年前と比較すると、女性の社会進出の拡大や家族観の多様化など、結婚をせずに生活していくスタイルも浸透しつつあることから、未婚率が上昇しているのだと考えられます。
また、国立社会保障・人口問題研究所が発表した「出生動向基本調査」では、「一生結婚するつもりはない」と考える人の割合は、1982年は男性2.3%、女性4.1%だったのに対して、2021年は男性17.3%、女性14.6%と、こちらも上昇傾向をたどっています。
「いつかは結婚したい」と考えている女性以外にも、「生涯結婚をしない」という選択をする人が年々多くなっているようです。
今後は、さらに高齢の「おひとりさま」が増えていく可能性もあるでしょう。
実際に、厚生労働省の「50歳時の未婚割合の推移」では、今後の未婚割合の推移として、下記のように予想しています。
2025年での予想は、女性で18.4%に。
約6人に1人の女性が「おひとりさま」になっている可能性があるのです。
「今は結婚を考えていない」「生涯結婚はしなくてもいい」と考えている女性が多くなっている現代においては、おひとりさま世帯が老後を安心して過ごしていくための準備も大切になるでしょう。
次章では、調査データをもとに「おひとりさま」女性の貯蓄事情を解説していきます。
7割以上の女性が独身であることに「不安あり」
株式会社ハー・ストーリィは、35歳以上の未婚女性を対象に「おひとりさま」に関する調査を実施しています。
調査概要は下記のとおりです。
調査期間:2023年4月8日〜2023年4月12日
調査方法:インターネット調査
調査対象:35歳以上の未婚女性162人
調査会社:株式会社ハー・ストーリィ
リリース公開日:2023年5月23日
上記調査の結果、75.9%の女性が独身であることに不安を感じていると回答しました。
結婚願望がある未婚状態の人は91.3%が不安だと回答している一方で、自ら未婚の生活を選んでいる人でも64%が不安を感じていることから、自らの意思で「結婚はしない」と考えている人であっても不安を感じる人の方が多いようです。
同調査の年代別の調査では、60代の人の9割は「不安」と回答していることから、「親や自身の老後生活」の不安感が強くなるのではないかとうかがえます。
半数以上のおひとりさま女性が貯蓄を実施、資産運用をしている人も
「おひとりさま」が抱える不安として「お金」はつきものですが、どのくらいのおひとりさま女性が貯蓄や資産運用をしているのでしょうか。
株式会社ハー・ストーリィの調査によると、半数以上のおひとりさま女性が日本円での預金をしており、2割の女性が「NISA」を活用して資産運用していることがわかりました。
日本円で預金する場合、お金がすぐに必要な際に現金として活用できますが、金利の低い現代では貯蓄額が大幅に増える可能性は低いでしょう。
一方で資産運用の場合は、長い年月をかけて資産を運用していくことで最終的にお金が増える可能性があります。
近年においては、多くの人がより積極的に資産運用ができるよう「NISA」などの制度もあるため、貯蓄と並行して資産運用もしていくことが、老後の不安を打開する解決策につながるのかもしれません。
増える「おひとりさま」。老後に向けて資金準備をしておこう
本記事では、調査データをもとに、おひとりさまの貯蓄事情について解説していきました。
近年日本では高齢者の未婚率が増加傾向にあり、今後も未婚率は上昇し続けていくことが予想されています。
社会の多様化によって「生涯おひとりさま」という選択肢が一般化しつつある現代では、高齢になっても一人で生活していけるように、老後資金を準備しておく必要があります。
実際に半数以上の「おひとりさま女性」は貯蓄をしており、中には資産運用を実施している人も。
現金での貯蓄・資産運用それぞれにメリット・デメリットがあるため、バランス良く貯蓄と資産運用ができるように、老後資金の準備をし始めると良いでしょう。