「就職氷河期第一世代の高卒女性です」と切り出す40代後半女性(埼玉県/未婚)は現在、流通・小売系の会社の正社員として働いている。女性は手取り16万3000円ほどで、「新卒から働き25年を過ぎましたが、手取りは税金など引かれなかった初年度が一番多くもらっていたと思います。堅実に働きましたが、一人暮らしなど夢のまた夢です」
と嘆く。薄給にもかかわらず、女性がこれまで転職しなかったのは一体なぜだろうか。(文:福岡ちはや)
「高卒の自分は職を失ったら次の正社員などない」という恐れ
女性は就職活動から若手社員の頃までを、次のように振り返る。
「“昇給あり・残業代あり・ボーナス夏冬1.5か月分あり”という求人票を見て申し込み、運良く新卒正社員で拾ってもらいました。が、何年経っても昇給はなく、残業代は一度も払われず、ボーナスも寸志程度で数年でほぼなくなってしまいました」
「転職に有利だといわれる20~30代前半は、バブル崩壊・リーマンショック・リストラ・派遣切りの不況の流れが直撃し、『学歴のない高卒の自分は職を失ったら次の正社員などない』と、なかなか転職に意識が向きませんでした」
求人票と異なる待遇に不満を抱きつつも、“仕事があるだけありがたい”という状況に陥ってしまっていた女性。かといって、いまさら転職に踏み切るのもためらわれ、「アベノミクスなど始まり、景気が回復してきた頃にはもう40代。中年独身女性を正社員で雇ってくれるところなどありません。
かろうじて介護や清掃業界の派遣社員がやっとでしょう。しかも同じ薄給でしょう」となすすべがないようだ。女性は、先々の暗さばかりが浮かぶ様子で「老親と支えながらやっと生きていますが、本格的な介護が始まったら共倒れになるのが目に見えていて悩みは尽きません。次の職がないと思うと引きこもることもできません」と投稿を括った。
パート・アルバイト勤務は正社員に比べて勤務時間の融通が利くのがメリットだが、時給制ゆえにまとまった金額を稼ぐのは大変だ。サービス系のパートとして働く30代後半の独身女性(愛知県/手取り14万円)は、「生活費が足りなくて、毎月赤字で貯金できない。仕事を減らされる月もあって困っている。やりがいもなく、社員にもしてもらえなく、通勤も遠いので転職を考えている。パートでは生活やっていけない」
と苦労を語った。ほかのパート・アルバイト勤務の人はどうだろうか。(文:福岡ちはや)
「手取り11万3000円。日々の食事が質素。病院に行くのもためらう」
流通・小売系のパートをしている40代前半女性(神奈川県/未婚/手取り11万3000円)は、日頃の生活感について次のように明かす。
「日々の食事が質素。病院に行くのもためらう。美容院に行くのが贅沢に感じる。服もセール品、安いお店でしか買えない」
また、女性の職場では休みも取りにくいのだという。
「世の中コロナと騒いでいても、在宅ワークもできない仕事で強制出勤。このご時世、人不足でも補充は考えてないと言われ、休みが取りにくい。旅行すら行きにくい。仮に旅行に行けたとしても、コロナ濃厚接触者とか感染者になった場合、欠員を出すわけにはいかないとクギをさされる」
一方、京都府在住の20代前半男性(その他/アルバイト/未婚/手取り17万円)は、アルバイトの働き方を気に入っているようで、こう綴っている。
「ネット記事、社会人の友人の話などを聞いていても、正社員になるのとアルバイトをするのでは手取りはまるで変わらない。アルバイトのほうが責任は軽く、シフトの融通も効きやすいので正社員になるメリットがわからない」
とはいえ将来に不安があるのか、「この先どういう人生を歩んでいくのか決めるのは自分であることは理解しているが、正解が見つからない」と複雑な胸の内を吐露していた。
<キャリコネニュース>
40代独身女性、勤続25年でも手取り16.3万円「堅実に働きましたが、一人暮らしなど夢のまた夢です」