孤独おじさん

ネットを席巻した「独身おじさん友達いない」問題。明るく「友達がいないんですよ」と語るおじさんの話を聞くと、おじさん界のZな事情が見えてきた。

「会社以外の知り合いがまったくいなくて、危機感。どうやって友達を作ればいいのか」。そんな自称「おっさん」からの悩み相談が、ライターのヨッピーさんのLINEに寄せられたのは、6月のこと。これを紹介したヨッピーさんのツイッターをきっかけに、専門家らに聞いたAERA dot.の記事が、大変なことになった。その名も「『独身おじさん友達いない』問題が意外に深刻」。

公開後まもなく各種コメントが殺到。またテレビや他媒体も後追いして、「独身おじさん友達いない問題」(以下、おじ友問題)というワードが、ネットを席巻した。

「いじられる」に違和感

この記事のライターを担当し、怖くてコメントが読めなかった自分のもとにも、友人知人からの感想メッセージがいっぱい届いた。例えば40代の独身女性さんからのお便り。

「新しい友達が作れない不安に40歳で気がついたという独身男性会社員の話があったけど、遅すぎます。私なんて子どものころから思ってました」

など何十年も前から「おひとりさま」文化を育んできた独身女性からは特に、「もっとしっかり!」的な意見も多かった。

一方、この記事が盛り上がった理由を、「中高年男性たちの琴線に触れてしまったから」と分析するのは、コミュニケーション・ストラテジストの岡本純子さんだ。『世界一孤独な日本のオジサン』の著書もある。

「日本では、孤独をカッコいいものと捉える人がいる一方、世界では孤独は現代病と考えられることが多い。本来は、そこに警鐘を鳴らしたいと考えて出した本だったのですが……」

そう話す岡本さんの本が出版されたとたん、「余計なお世話だ」「放っておいてくれ」というコメントが殺到したという。

「先日、綾小路きみまろさんのライブに行ったときにも思ったのですが、彼の話のネタになるのは女性がほとんど。競争社会で生き延びてきた中高年男性は、いじられることに違和感を覚えやすいのではないか」

明るく「さみしい!」

確かに「おじ友問題」の記事にも、「余計なお世話だ」「放っておけ」的なコメントは少なくない。「そんなプライドの高さも友達作りを難しくする原因では……」と岡本さんと意見が一致したところで、「おじ友問題」の記事に登場してくれた40代の会社員氏にも聞いてみた。

ちなみに会社員氏は、会社での話し相手や友人はいるものの、新しい友人ができないことで不安がジワジワ。気の合いそうな人に出会っても、飲み屋でメアドの交換などはさすがに恥ずかしく、「めんどうだから、もういいや」となるのが日常らしい。

「コメントをおそるおそる読みましたが、僕の印象では“友達いないおじさん”への共感の声が大多数。将来、独身がメジャー勢力になるというニュースも、友達を作りやすくなるいいニュースに思えてきました」

きみまろさんも触れられないような、オールドエコノミーの「放っておけ」おじさんと比べると、素直だし、前向きだし。「僕もさみしいんですけどね!」と明るく語れる、おじさん界のZ世代の感もある。聞けば会社員氏にとって、友達の存在が微妙に変わったのは、初期のSNS「ミクシィ」が登場して、マイミクなる新しいタイプの友達が出てきてから。友達の数が数字で可視化されたことで、それまで普通にやっていた友達作りが、あれこれ考えすぎて難しくなったという。

「例えば……ですが、友達申請して、相手は迷惑じゃないかな(笑)と考えたり。こうしてSNSに若くして触れた世代と、それ以前の世代では、友達の意味からして違う気がします」

世代交代が進む独身おじさん界の「友達いない問題」。流行語大賞を狙うなら、今年がワンチャンか。(ライター・福光恵)

<AERA dot.>
「独身おじさん友達いない問題」をもっと考える 素直に明るく「さみしい!」の謎

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