未婚男性の幸福度は低い。もともと男性の方が女性より幸福度は低く、既婚より未婚の方が低く、若者より中年の方が低い、つまり、まとめると、未婚の中年男性がもっとも幸福度が低いということになる。
しかし、だからといって、未婚男性全員が不幸なわけではない。他と比べて、不幸だと感じる割合が多少高いだけに過ぎない。
未婚男性の幸福度が高いからといって、「彼らが不幸なのは、一人で過ごす時間が多く、人との関わりがないからだ→彼らは孤独に苦しんでいる→だから自殺や孤独死が多いのだ」などという全く根拠も因果もない推論に結び付けて断じる論者などがたまにいてびっくりする。
未婚男性だからといって誰もが人と関わっていないわけではない。仮に、一人でいる時間が多くてもそれに苦しんでいるわけではない。自殺や孤独死に結び付けるなら、それは未婚男性というより若者の自殺の問題であり、孤独死に至ってはその多くは元既婚男性である。あまりに表層的・短絡的な無理やりすぎるこじつけだと思う。
未婚男性でも、「現在恋人がいる」または「年収500万円以上である」場合は幸福度が高い。恋愛や経済的条件が満たされていると未婚男性も幸福なのだ。
しかし、それと遜色ないレベルで「何かしらオタク趣味を持つ」未婚男性の幸福度も高い。むしろ中年以降、全体的に幸福度が下がる中においても、「オタク」の場合は、「現在恋人がいる」男よりも、「年収500万円以上稼ぐ」男よりも幸福度が高くなるのである。これは、女性の場合もほぼ同様で、オタクの幸福感は高いと言える。
総論的には、確かに「未婚は不幸である、男の未婚はなおさら不幸である」と言えなくもないのだが、未婚であろうと、恋人がいなかろうと、低年収であろうと、何事か打ち込めるオタク的趣味があれば、十分幸せでもあると言える。
そもそも、既婚者の幸福度が高いのは、「家族や子どもがいるから」という要因がある。
高い収入があるわけでも、何か他人より秀でた能力があるわけでもなく、むしろ自己有能感は低いにもかかわらず、既婚者は「あるがままの日常」の中に幸せを感じられる人が多い。それは、家族や子どもを自分が支えている、応援しているという満足感によるものなのかもしれない。
家族や子どものいない未婚のオタクも、アイドルやプロレスラー、好きなスポーツチームを応援することで満足を得ている。ある意味それは「擬似家族・擬似子育て」とも言えるのではないだろうか。
親は、自分の子の大学授業料や生活費がどんなに高額でも、それを無駄な出費だとは思わない。同様に、アイドルオタクがアイドルのために消費するのも同様だろう。むしろ惜しみなく注ぎ込む。そこに何かの見返りを求めることもない。
お金をかけたからといって、そのアイドルが売れるとも限らないし、そのチームが優勝するわけではない。しかし、そうしたいのだ。経済的合理性や効率性など、そんなことはどうでもいい話である。未来に確実な成功や報酬が約束されていなくてもいい。
むしろ、不確実な未来を一緒に喜びたいのだ。理屈やリスクではなく思わず行動してしまうこと。自分の役割をそこに見いだせること。それこそがオタクの幸せの正体なのかもしれない。
<Yahooニュース>
不幸度の高い中年未婚男性~恋愛よりも高年収よりも幸福感を得られること