事実婚の実態

現在、増加傾向にある「事実婚」。社会保険や税金などの社会の仕組みが「事実婚」にどう対応しているか、解説されているので紹介します。

<事実婚の定義>
婚姻届けを提出して手続きを行うことを「法律婚」と呼びます。その定義は非常に明確ですが、事実婚はどのように定義されるでしょうか。以下が、一般的に事実婚であると認められる条件です。

・お互いが「夫婦である」と認識している
・共同で生活をしている
・社会的に夫婦と認められている(公的書類に事実婚である意思表示をしている)

このうち、「社会的に夫婦と認められている」という部分では、例えば「住民票」が挙げられます。

住民票では、その地に居住している証明の他、同居人との関係性(続柄)を示す部分がありますが、「未届の夫」「未届けの妻」とすれば、公的書類に事実婚の意思表示になります。ただの「同棲」と大きく違う点です。

<事実婚でできること>
「勤務先の社会保険(健康保険や厚生年金)の扶養に入れる」
いわゆる「社会保険」は、その会社に勤めている人の他、その家族(パートナー)にも適用されます。

■健康保険
病気や怪我をした時の給付金
亡くなった時の給付金
出産をした時の給付金

仮に自己負担で国民健康保険料を納める場合、住んでいる地域、世帯人数、年齢、所得に応じて変わりますが、無職無収入の場合、自己負担額は年間でおよそ2万円弱(月額1,600円強)、年収200万未満で40歳未満のパートやアルバイトの場合は、年間10万円強(月額1万1,000円~)になる計算です。

■厚生年金保険
老齢年金、障害年金、遺族年金

仮に自己負担で国民年金を納める場合は、1万6,610円/月額(令和3年度)

会社と個人が半分ずつ負担する制度(労使折半)である社会保険に、パートナーが加入する最大のメリットは、国民健康保険と国民年金の負担がいらない点です。この負担額は年間にすると非常に大きいので、忘れずにチェックをしてください。

「事実婚を解消(離婚)する時の財産分与や慰謝料、子供の養育費請求」
婚姻関係にある夫婦が共同生活をしていた期間中、夫婦で協力をして形成した財産は、婚姻関係の解消時に「財産分与」の対象となります。これは事実婚においても適用される考え方で、「準財産分与」といいます。

法律婚と同様に、事実婚も、お互いを尊重して共同生活を送る義務が生じます。よって、どちらかの一方的な婚姻関係の解消や不貞行為が生じた場合は、財産分与や慰謝料の請求が可能です。

また、事実婚で子供を授かった場合。法律婚とは異なり、原則、親権者は母である「妻」となり、夫婦二人が共同親権を持てないようになっています。父である「夫」が認知をした場合は、婚姻関係の解消後、養育費を請求することができます。

独身の方の中には事実婚を選択された方も多いかと思います。そんな方はご自身のライフプランと合わせて利用できる法制度を確認されてみてはいかがでしょうか?

<MONEY PLUS>
「事実婚」社会保険、年金、税金…何が変わる?できること、できないことを解説

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