日本が高齢化社会に突入して50年以上、少子化も加速する中で生活面や金銭面など、どんな人でも老後への不安はある。自分の老後はどうなるのか、介護が必要になった時の不安について独身の女性たちに聞いた。AERA 2026年1月19日号より。
年を重ねるにつれて増す老後への不安。それは、離婚を迷う要素になることもある。この先、自分の身体が思うように動かなくなったとき、一人で大丈夫だろうか。そう考えて逡巡してしまうこともあるだろう。
飲食店を営む埼玉県所沢市在住の女性(43)は、昨夏から夫と別居している。
女性がひと回り年上の夫と結婚したのは、10年前のこと。夫はバツイチで2人の連れ子がいたが、「当時私はフリーランスで働いていて、会社員の夫と結婚すれば安定を得られるだろうという気持ちがありました」と振り返る。
重要なのは金銭の蓄え
とはいえ、養ってもらおうという思いはなく、女性は仕事を続け、数年が過ぎた。
「30代半ばになったとき、『子どもを産んだほうがいいのかも』と感じました。夫に『子ども、欲しいと思っていますか?』と聞いてみたら、『正直いらない』と言われました」
それまで「子どもが欲しい」と強く思っていたわけではなかったが、「いらない」と言われた瞬間、自分を拒否されたような感覚になり、「私は子どもを産まない人生を選ぶんだ」と大きな衝撃を受けたという。
「子どもを産まないのだとしたら、夫も年上で先に逝ってしまうだろうし、そうなると私はきっとひとりになる……。犬を飼っていますが、この子も自分より先に死んでしまうでしょう。『私はみんなを見送って、最終的にはひとりぼっちになるんだ』と思い、とても悲しくなったんです」
ひとりは寂しい。だから、結婚生活を続けたものの、夫と小さな言い争いでしばらく口をきかなかったときに、女性の父親が亡くなった。しかし、夫は励ましてくれるどころか、葬儀にすら顔を出さなかった。ようやく離婚を決意し、現在は弁護士を立てて離婚協議中という。
「だから、ある程度の覚悟をもって『孤独な老後になるだろう』と考えています」
将来の不安を消すために重要なことは、金銭的な蓄えだ。
大手企業で働く東京都江東区在住の女性(40)は、28歳で結婚し、夫が米国で事業を立ち上げたため、現地に移り住んだ。長女を出産したものの、30歳で離婚。ひとりで帰国した。
「娘はいくつかの障害を抱えています。米国は障がい者への支援が非常に手厚く、ダイバーシティーの意識も高い。私としては娘と一緒に暮らしたかったのですが、日本で生活するのは現実的ではありませんでした」
そのため、前夫と娘は米国で暮らし、女性は日本で働いて仕送りをすることになった。帰国後はいくつかの会社を渡り歩き、4年前から今の職場に落ち着いている。
ひとりで生きる不安
娘のことは心配だが、今後も日本で一緒に暮らすのは現実的ではないと感じているという。シングルのまま月日が過ぎていくことについて、女性はこう話す。
「これから一人で生きていけるなら、それでもいいと思いつつも、年齢を重ねていくなかで、やはり“ひとり”という選択に不安はあります。親の介護については、少し前に家の近くへ引っ越してもらいましたし、妹も近くに越してくる予定なので、みんなで助け合いながら暮らしていけると思います。ただ、自分自身については、なるべく人様に迷惑をかけたくないと思っているので、少しずつ貯金をして、お金で解決できることは解決できるようにしていきたいと思っています」
そこで老後の生活と資産のため、最近マンションも購入したという。
「妹も離婚していて、今は独身。『姉妹で支え合って生きていこう』と話しています。家族で一緒に暮らすという選択肢もあるにはありますが、母とは折り合いが合わないことも多く……。私としては、正直、一緒に暮らすのは考えにくいと思っています。今のこの“適度な距離感”だからこそ、うまくやれている部分もあるんですよね」
シングルといっても、その形も悩みもさまざま。話を聞かせてくれた人たちに共通していたのは、「ひとりで生きる」ことへの不安やもどかしさと向き合う懸命な姿だった。
(編集部・古寺雄大)
※AERA 2026年1月19日号より抜粋
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孤独な老後になることを覚悟して少しずつ貯金を… 離婚した独身女性が抱える“未来”への不安