2050年には単独世帯が全世帯の44.3%に――。
4月12日、国立社会保障・人口問題研究所が衝撃の将来推計を発表した。2020年に38%だった単独世帯が30年間で半数近くまで増えるという(表1グラフ参照)。
「夫婦と子」というもっとも一般的だった世帯が右肩下がりに減っていき、反対に単独世帯が増えているのだ。
さらに、高齢者には驚愕の推計がある。65歳以上の人口に占める一人暮らしの割合は2020年から2050年の30年間で、女性は23.6%から29.3%に、男性は16.4%から26.1%に上昇する。
しかも、高齢単独世帯に占める未婚者の割合が、2050年には女性が30.2%に、男性は59.7%にのぼるというのだ。
「今の高齢者は、一人暮らしでも子どものいる人が多いでしょう。
ですが2050年には、未婚のまま高齢になり介護などを支える子どもがいない高齢者が激増します。きょうだいやその子どもたちを頼れる人は、多くはないでしょう。
自治体など社会で高齢者を支える仕組みが必要です」
似たような施策が各地に。住んでいる自治体で探そう
特定社会保険労務士で『知った人から得をする! 60歳からの「届け出」だけでもらえるお金最新版』(宝島社)を監修した小泉正典さんはそう語る。
「今、社会で支える仕組みがまったくないというわけではありません。十分とはいえませんが、住民のニーズをくみ取り、独自の支援策を行う自治体も多くあります。
ですが、自治体が必要な人を探し出してプッシュ型で支援するものはほとんどありません。自分に合った支援策を見つけ、自分から『利用したい』と申し出る必要があるのです」(小泉さん、以下同)
高齢者は、自分で支援策を見つけるのが難しいのでは?
「困ってからでは難しいと思います。なので、元気な現役世代のうちから、居住する自治体にはどんな施策があるのか、情報を集めておくといいでしょう」
そこで小泉さんに、一人暮らしの高齢者や高齢者世帯が申請すればもらえる補助金やサービスなどを教えてもらった。
まずは配偶者に先立たれた人が、もらえる年金がある。
「配偶者の葬儀などで慌ただしいと思いますが(1)遺族年金の申請を忘れずに。遺族年金の支給対象外の人は(2)死亡一時金と(3)寡婦年金はどちらか多いほうを選んでください」
自治体の施策で多いのは?
「高齢者の見守りに力を入れる自治体が多いように思います」
(15)東京都北区などの高齢者見守り・緊急通報システムは、名前が違っても似た施策が各地にある。お住まいの自治体で探してみよう。
「住宅関連の支援も多いです。高齢になると賃貸住宅が借りづらくなるので、(5)優良賃貸住宅で家賃補助があると安心でしょう」
身寄りのない一人暮らしの人が特に心配なのが、自分の死後だろう。葬儀や死後事務を頼める人がいない場合もある。
「(7)東京都中野区の『あんしん居住サービス』はそうした不安に寄り添う大切なものです」
制度は使わないと損。申請もれのないように今からチェックを!