「将来の不安」についての各種調査などでも軒並み上位占めてくるのが「お金」にまつわる不安。将来、もし生活費や家賃、スマホ代などが支払えなくなってしまったら……。実際にそのような状況にならないとしても、そんなときに役立つ社会保障制度などを知っておけば、不安は和らぎ、心に余裕を持つことができるはずだ。
今回は雨宮処凛氏の著書『死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』の一部を抜粋。社会保障制度のアクセシビリティー向上を目指して活動するNPO法人「Social Change Agency」代表理事の横山北斗さんの見解を紹介する。
友人がシングルマザーになると宣言――ひとり親が使える各種の制度
さて、次は「未婚の母」となるケース。
例えば未婚の友人が妊娠し、産むと決心した時、使える制度にはどんなものがあるだろう。相手の男性にも家族にも経済的には頼れず、本人も余裕があるわけではないなんて場合だ。
「収入が一定の金額を下回っていれば、出産の際、入院助産制度が使えます。これは出産費用のサポートが受けられるものです。また、国民健康保険か会社の健康保険に入っていれば、出産育児一時金50万円が支払われます。それ以外にも会社の健康保険に入っていれば、出産前後に会社を休んで給料が支払われない場合、出産手当金も受け取れます」
他にも産前産後のサポートには「産前産後家事・育児支援サービス」がある。一定期間、家事や育児の支援をしてくれる制度だ。また、産後の母子が受けられる制度には「産後ケア事業」もある。産後に心身の不調や育児不安があり、サポートが必要な人とその子どもが、短期入所や通所、居宅訪問という形でサポートを受けられる。
そのような窓口として「子育て世代包括支援センター」がある。妊娠や出産、子育てに関することが相談できる場だ。保健師や助産師、看護師、社会福祉士などのアドバイスが受けられる。
「それ以外にも、ひとり親であれば、さまざまな制度が利用できます」
どういうものがあるのだろう?
「まず児童扶養手当ですね。ひとり親の子どもが18歳になるまで支給されます。収入が多ければ少なくなったりもらえなくなったりしますが、満額だと一人目が4万4140円、二人目が1万420円、三人目以降が一人につき6250円、月額でもらえます」
それ以外にも使える制度はあるそうだ。
「ひとり親家庭等医療費助成制度も使えます。これは一人で子どもを育てている親と子どもが医療費のサポートを受けられる制度です」
また、ひとり親に限らず使える制度に「子育て短期支援事業」がある。病気や仕事、リフレッシュなどの際、子どもを一時的に預かってもらえる制度だ。ショートステイやトワイライトステイがある。他にも登録すれば使える制度に「ファミリー・サポート・センター事業」がある。子育ての手伝いを受けたい人がサポートを受けられる制度だ。
こう見ていくといろいろな制度があるので、フル活用を勧めたい。