2023年2月15日は、今年最初の年金支給日です。
この日に支給される金額は2022年度の水準ですが、6月より支給開始となる2023年度の年金は、3年ぶりのプラス改定となる見込みです。
とはいえ、実際に年金はいくらぐらい受給されているのか、あまり知る機会がないかもしれません。
夫婦なのか独身なのかによって、世帯の年金収入も大きく異なることでしょう。
そこで今回は、「夫婦 or 独身」ごとに、厚生年金と国民年金の平均受給額を見ていきます。
1.国民年金の受給額は一人あたりいくら?
まずは厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、国民年金の一人あたりの受給額を見ていきます。
国民年金とは、公的年金の1階部分にあたる年金で、日本に住む20~60歳未満の全ての方が原則加入します。
国民年金保険料を毎月支払うことで、老後に受け取れる年金を老齢基礎年金とも呼びます。
1.1 国民年金(老齢基礎年金)平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:5万6368円
〈男性〉平均年金月額:5万9013円
〈女性〉平均年金月額:5万4346円
1.2 「国民年金」受給額1万円ごとの人数
1万円未満:7万27人
1万円以上~2万円未満:28万4152人
2万円以上~3万円未満:90万3006人
3万円以上~4万円未満:274万9550人
4万円以上~5万円未満:463万6048人
5万円以上~6万円未満:791万730人
6万円以上~7万円未満:1500万3006人
7万円以上~:187万2466人
男女ともに、ボリュームゾーンは6万円~7万円未満です。
2.厚生年金の受給額は一人あたりいくら?
続いて同資料より、老齢厚生年金の受給額も見ていきます。
厚生年金とは、会社員や公務員等の第2号被保険者が国民年金に上乗せして加入する年金で、その金額は報酬比例制です。
以下で紹介する金額には、1階部分である国民年金部分も含みます。
2.1 厚生年金保険(第1号)平均年金月額(※)
全体:14万3965円
男子:16万3380円
女子:10万4686円
※基礎年金(国民年金)の月額を含む
月額で約6万円の男女差がありますね。個人差を見るために、1万円ごとの受給者数も確認しましょう。
2.2「厚生年金」受給額1万円ごとの人数
1万円未満:9万9642人
1万円以上~2万円未満:2万1099人
2万円以上~3万円未満:5万6394人
3万円以上~4万円未満:10万364人
4万円以上~5万円未満:11万1076人
5万円以上~6万円未満:16万3877人
6万円以上~7万円未満:41万6310人
7万円以上~8万円未満:70万7600人
8万円以上~9万円未満:93万7890人
9万円以上~10万円未満:113万5527人
10万円以上~11万円未満:113万5983人
11万円以上~12万円未満:103万7483人
12万円以上~13万円未満:94万5237人
13万円以上~14万円未満:91万8753人
14万円以上~15万円未満:93万9100人
15万円以上~16万円未満:97万1605人
16万円以上~17万円未満:101万5909人
17万円以上~18万円未満:104万2396人
18万円以上~19万円未満:100万5506人
19万円以上~20万円未満:91万7100人
20万円以上~21万円未満:77万5394人
21万円以上~22万円未満:59万3908人
22万円以上~23万円未満:40万9231人
23万円以上~24万円未満:27万4250人
24万円以上~25万円未満:18万1775人
25万円以上~26万円未満:11万4222人
26万円以上~27万円未満:6万8976人
27万円以上~28万円未満:3万9784人
28万円以上~29万円未満:1万9866人
29万円以上~30万円未満:9372人
30万円以上~:1万4816人
幅広い金額にばらけており、ボリュームゾーンは9~11万円未満、17万円~18万円未満となっています。
国民年金よりも個人差が激しいのは、現役時代の報酬や加入期間の差が影響しているためです。
3.「夫婦 or 独身」ひと月の年金受給額を比較
一人あたりの年金受給額がわかったところで、ここでは「夫婦 or 独身」のひと月の受給額をみてみましょう。
3.1 夫婦世帯
夫婦とも厚生年金:26万8066円(夫:16万3380円+妻:10万4686円)
夫が厚生年金+妻が国民年金:21万7726円(夫:16万3380円+妻:5万4346円)
夫が国民年金+妻が厚生年金:16万3699円(夫:5万9013円+妻:10万4686円)
夫婦ともに国民年金:11万3359円(夫:5万9013円+妻:5万4346円)
3.2 独身世帯
男性・厚生年金:16万3380円
男性・国民年金:5万9013円
女性・厚生年金:10万4686円
女性・国民年金:5万4346円
夫婦世帯という場合、夫が厚生年金に加入していれば20万円を超えますが、夫が国民年金の場合10万円台となります。
女性の厚生年金が少ないのは、結婚や出産を機に配偶者の扶養に入り、結果的に厚生年金の加入期間が短くなるケースが多いためと考えられます。
扶養内でパートをする方も多いですが、近年では厚生年金(社会保険)の適用が拡大されています。
2016年10月~:従業員500人を超える規模の企業で、一定条件を満たす方
2017年4月~:従業員500人以下で労使合意に基づき申し出をする企業に所属し、一定の要件を満たす方
2022年10月~:従業員数100人超規模の企業、一定条件を満たす方
2024年10月~:従業員数50人超規模の企業で、一定の要件を満たす方
勤務先や働き方次第では、厚生年金へ加入し、将来の年金額を増やすことも可能です。
一方、独身世帯では、厚生年金で10万円台、国民年金では5万円台です。
年金のみで生活するのは厳しいので、早いうちから老後に向けて準備を検討するといいでしょう。
4.世帯にあった老後対策を
厚生労働省の資料をもとに、国民年金(老齢基礎年金)と厚生年金の受給額を抽出し、そこから「夫婦 or 独身」の年金受給額を比較しました。
平均がすべての世帯にあてはまるわけではありませんが、ある程度の傾向をつかむことができたのではないでしょうか。
国民年金だけという方、厚生年金の加入期間が少ないという方は、老後対策の必要性も高まります。
ねんきんネットやねんきん定期便などを確認し、まずは目安となる金額を世帯で確認しましょう。
その上で、老後に足りない分の貯蓄が必要になります。