老後の生活やお金は、多くの方にとって不安を感じるものです。そんな中でも、非正規雇用のおひとりさまの場合、いろいろ思い悩むことがあるかもしれません。
そこで今回は、女性で非正規雇用のおひとりさまが老後を考える時、どんな準備をすれば、安心な老後になるのかをまとめます。
おひとりさまは年々増えている？ 2040年には男性29.5％、女性18.7％が生涯未婚に
50歳時点で一度も結婚していない人の割合を示す生涯未婚率は、厚生労働省HPに掲載の2015年時点の結果によると、男性23.4％・女性14.1％となっています。今後も未婚化の傾向のままであれば、2040年には男性29.5％、女性18.7％になると予想しています。生涯未婚率で見ると、結婚していない割合は、女性よりも男性の方が1.6倍多くなっています。
参考：
・厚生労働省「令和3年版厚生労働白書ー令和時代の社会保障と働き方を考えるー」図表1-1-2 50歳時の未婚割合の推移
しかし、老後の生活やお金を考える時、シビアに状況を捉えるのは女性のおひとりさまの方が多いかもしれません。その理由には、女性の働き方が影響しています。総務省の「労働力調査（基本集計）」（2021年）で、女性の雇用状況を確認してみましょう。
男性・女性をあわせた非正規労働者2064万人でみると、女性は68％も占めている
女性の正規雇用・非正規雇用を含めた総労働人口2635万人です。そのうち、1413万人（53％）が非正規雇用で働いています。男性の場合、正規雇用・非正規雇用を含めた総労働人口2994万人に対し、非正規雇用は652万人（21％）となっています。男性・女性をあわせた非正規労働者2064万人でみると、女性は68％も占めていることになります。
・総務省「労働力調査（基本集計）」（2021年）平均結果の要約
正社員であれば、給与にさまざまな手当がついたり、賞与、退職金制度があったりするので、安定して働くことができます。しかし、パート・アルバイト、契約社員、派遣社員などのような非正規社員であれば、時給換算で働くケースが多く、給料が低く抑えられてしまします。また、賞与や退職金などは、正社員と比べ少なかったり、そもそも支払われなかったりということも多いでしょう。
40歳以上の就職氷河期世代であれば、正社員で働こうと思っていたけど、なかなか思うような就職先が見つからず、非正規雇用の仕事のままになってしまったのかもしれません。そのような状況であれば「今の生活も大変なのに、老後のことまで考える余裕なんてない……」という声が聞こえてきそうです。今の生活がシビアな人が不安を解消するために、今からどんな準備をすればいいのでしょうか？
女性で非正規雇用のおひとりさまが、安心の老後を迎えるための準備
女性で非正規雇用で働く場合でも、1人暮らしや親や姉妹と一緒に暮らしている方など、それぞれの生活背景はいろいろです。どんなライフスタイルであっても、今から老後の不安を和らげるのに有効なことを2つご紹介します。
●その1：ものを減らして、持たない暮らしへスイッチング
今まで、そんなにものを買ってこなかったという人でも、部屋の中にはいろいろ不要なものがあるものです。いつか整理してスッキリしたいと心のどこかで思っている人もいるのではないでしょうか。50歳近くになったら、部屋の中にあるいらないものを手放し、コンパクトな暮らしへスイッチングするようにしましょう。
私自身も、そのくらいの時期に1週間ぐらいかけて、着ない服や、使わないもの、書類や本など処分しました。整理がすんで感じたことは、欲しいと思って買ったはずのものでも、実際は欲しいものでもなかった……ということです。「ムダな買い物だった……」と後悔したものも多くありました。その後は、必要なものだけ買うという習慣になりました。
ものが少ないと、部屋がスッキリ片付き、掃除の手間も減ります。また、ムダにものを買わなくなると、節約にもつながります。老後に向けての準備としては、まずは、余計な物欲をなくすことでムダな支出を抑えましょう。
●その2：年金を増やすことを目的に働く
非正規雇用の場合、60歳で退職することになっても、まとまった退職金が支払われないかもしれません。そんな場合、収入を増やそうと、仕事の掛け持ちを考えることもあるかもしれません。しかし、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」（高年齢者雇用安定法）が改正となり、2021年4月から、働く意欲のある高年齢者が働き続けられるよう、70歳までの継続雇用が整ってきています。短期間で身体にムリをかけるより、長く働くことを考えましょう。安定的な収入が得られれば、生活に困ることはありません。
その際、60歳以上になっても、もし厚生年金に加入できるようであれば加入して、65歳から受け取る厚生年金の受給額を増やすようにしましょう。厚生年金がどのくらい増えるのかは、以下の計算式で求めることができます。
「平均標準報酬額×5.481/1000×加入月数」※平成15年4月加入以降の場合
たとえば、年間の給与収入が180万円（平均標準報酬額15万円）であれば、1年間働くと年金は年間にして、約9800円増えます。また、60歳から、年金が支給となる年齢の65歳まで働けば、9800円×5年になり、年間約4万9000円増加します。もし、厚生年金の上限となる70歳まで働くことができれば、9800円×10年になり、年間約9万8000円も年金が増えるでしょう。
老後資金が思うように貯まらないという状況があったとしても、健康を維持することを考え、長くコツコツ働くことができれば、その間の収入を得ることと、将来の年金を増やすことの両方が叶います。
まとめ
不安で何も手につかないという人は、まずは身の回りの整理をおすすめします。私の場合は、住む環境をスッキリさせることで、本当に大事なこと、必要なものが見えてきました。気持ちが切り替わり将来についての考え方も前向きになります。まずは片づけから始めてみましょう。
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女性で非正規雇用のおひとりさまが、安心して老後を迎えるために